学術・研究

作業療法マニュアルシリーズ

 

作業療法マニュアル 31
精神障害:身体に働きかける作業療法アプローチ
回復段階に沿った治療活動の紹介

 

 執筆者
  菅井 京子
  山根 寛
  小林 正義
  石井 政江
  浅野 恵

 2007年5月25日 第2刷発行  A4変形

 


 

作業療法マニュアル 32
ニューロングステイをつくらない作業療法のコツ

 

 執筆者
  山根 寛
  小林 正義
  腰原 菊恵
  香山 明美
  鎌倉 花苗
  福島 佐千恵
  香田 真希子
  原口 晋一
  山崎 さおり
  氷川 和絵

 2006年7月10日 発行  A4変形

 


 

作業療法マニュアル 35
ヘルスプロモーション

 

 執筆者
  安本 勝博
  稲葉 耕一
  近藤 敏
  村井 千賀
  吉川 ひろみ

 2009年6月15日 発行  A4変形

 


 

作業療法マニュアル 36
脳血管障害に対する治療の実践

 

 執筆者
  宮口 英樹
  山本 伸一
  内山 将哉
  小野田 直人
  佐尾 健太郎
  高橋 栄子
  田村 和子
  中里 瑠美子
  広田 真由美
  藤田 晴美
  保谷 勝義
  南 誠一
  山田 勝雄
  渡部 敦子

 2009年7月20日 発行  A4変形

 


 

作業療法マニュアル 37
生活を支える作業療法のマネジメント 精神障害分野

 

 執筆者
  早川 昭
  山根 寛
  香山 明美
  棟近 展行
  隆島 美智子
  岡村 宮子
  楜澤 直美
  相澤 みな子

 2009年10月20日 発行  A4変形

 

Ⅰ 精神科リハビリテーションにおける生活を支える視点
Ⅱ 病院内における生活支援
Ⅲ-1-1) 外来作業療法
Ⅲ-1-2) デイケア
Ⅲ-1-3) 社会復帰施設
Ⅲ-2 ケアマネジメント
Ⅲ-3 危機介入
Ⅲ-4 重度療養の対象者に対する地域生活支援

 


 

作業療法マニュアル 41
精神障害の急性期作業療法とプログラム

 

 執筆者
  小林 正義
  香山 明美
  酒井 道代
  岩永 竜一郎
  青山 克実
  岡本 利子

 2011年3月31日 発行  A4変形
 2017年3月31日 第2刷

 

Ⅰ 退院促進プログラム
Ⅱ プログラムの効果
Ⅲ 事例紹介
Ⅳ 精神科医療における作業療法の課題

 


 


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作業療法マニュアル 42
訪問型作業療法

 

 執筆者
  宮里 直美
  大越 満
  大瀧 雅代
  東 登志夫

 2011年3月31日 発行  A4変形

 

Ⅰ 訪問型作業療法とは
 1 訪問型作業療法の位置づけ
 2 訪問作業療法の種類と特徴
 3 訪問作業療法の現状と今後の課題
Ⅱ 在宅における作業療法の流れ
 1 訪問作業療法の手順
 2 在宅訪問時の留意点・リスク管理
 3 連携
Ⅲ 在宅訪問作業療法実践事例
 1 在宅での日常生活活動の自立度が向上した事例
 2 対象者の語りをもとに訪問作業療法を行った事例
Ⅳ 書式集

 病院や施設で過ごす時間の短期化は年々進み,在宅で過ごすよう促されている。しかし, まだまだ在宅で過ごしやすい公的環境が整っているとは言い難い。作業療法士の視点からいっても,病院や施設の外で対象者の「在宅」を訪問して業務を行う作業療法士の数も年々増加傾向にあるが,その運営母体は多岐にわたり,作業療法士としての経験年数も違い,地域や行政による差もあり,複雑な背景となっているのが現状である。
 そこで,本マニュアルでは,在宅で暮らす人に,適切で効果的な作業療法を提供できるよう,事例を通して,具体的な一連の流れ,実際の評価・介入の実践について示した。そして,評価や計画立案,介入,制度的な背景や管理運営の知識・技術,ポイントについて述べている。

 


 


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作業療法マニュアル 43
脳卒中急性期の作業療法

 

 執筆者
  甲斐 雅子
  長谷川 敬一
  村山 幸照
  五百川 和明
  清野 敏秀

 2011年3月31日 発行  A4変形

 

Ⅰ 脳卒中リハビリテーションの流れと急性期の作業療法
 1 脳卒中の治療,リハビリテーションの流れ
 2 脳卒中急性期における作業療法支援の必要性
Ⅱ 脳卒中急性期作業療法の実際1 -リスク管理,評価
 1 リスク管理
 2 作業療法評価
Ⅲ 脳卒中急性期作業療法の実際2 -作業療法介入の考え方
 1 ICU・SCUで行う場合の作業療法
 2 意識障害がある場合の作業療法
 3 座位が許可されていない時期からできる作業療法
 4 離床段階の作業療法
 5 高次脳機能障害に対する作業療法
 6 ADL能力向上に向けた作業療法
 7 上肢機能の改善に向けた作業療法
Ⅳ 脳卒中急性期の退院支援
 1 在宅リハビリテーションサービスが充実している病院の場合
 2 ケースマネジメントに積極的に取り組んでいる病院の場合
Ⅴ 脳卒中急性期作業療法の実際3 -事例を通じた作業療法の理解
Ⅵ 脳卒中の治療(総論)
Ⅶ 脳卒中の急性期作業療法文献集

 脳卒中を発症して間もない時期,不安や混乱の中でも,人は生きるための作業,生活を取り戻すための作業を模索し,遂行しようとしている。そうした脳卒中急性期の対象者に効果的な作業療法支援についてまとめたマニュアルである。この中では,ICU・SCUで行う場合や意識障害がある場合,座位が許可されていない場合など,通常の作業療法を展開できない時期に作業療法士としてできることについて述べられている。また急性期のリスク管理や評価,ME機器について,そして高次脳機能障害やADL,上肢機能の改善を目的とした作業療法および退院支援などが示されている。

 


 


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作業療法マニュアル 45
呼吸器疾患の作業療法①

 

 執筆者
  生須 義久
  竹林 崇
  黒塚 幸恵
  鈴木 真弓
  小林 隆司

 2011年3月31日 発行  A4変形

 

Ⅰ 呼吸器疾患に対する作業療法の意義
Ⅱ 呼吸器疾患に対する評価
 1 呼吸リハビリテーションにおける一般的評価
 2 作業療法評価
Ⅲ 呼吸器疾患に対する心理的評価とアプローチ
 1 精神神経症状
 2 呼吸器疾患のQOL
 3 精神・心理機能の評価
 4 心理的対応
No.46へ続く

 呼吸器疾患をもつ人の多くは、日常生活の中で重い息切れを体験し、それによってADLやIADLが大きく制約されている。また、慢性的な経過から、心理的不安や抑うつを抱えることも少なくない。そのような背景から近年、包括的呼吸リハにおける作業療法士の役割が重要視され、多くの作業療法士の参入が望まれている。
 そこで本マニュアル①では、作業療法の意義と呼吸リハの一般的評価、作業療法評価、心理的評価、心理的アプローチについて述べた。特に作業療法評価や心理的評価では、評価の留意点だけでなく解釈のポイントまで丁寧に解説したので参考にしてほしい。マニュアル②では、ADL・IADL支援とリスク管理、事例について記載した。特にADL・IADL支援については、遂行動作一つ一つに詳細な介入方法を示しているので、手に取ったその日から役に立つはずである。

 


 

作業療法マニュアル 46
呼吸器疾患の作業療法②

 

 執筆者
  生須 義久
  竹林 崇
  黒塚 幸恵
  鈴木 真弓
  小林 隆司

 2011年3月31日 発行  A4変形

 

No.45からの続き
Ⅳ ADL・IADL支援
 1 ADLトレーニングのポイント
 2 IADL支援のポイント
 3 ADL・IADLの各動作における評価,指導・トレーニングの具体例
Ⅴ リスク管理
Ⅵ 事例
 1 COPDの事例
 2 肺線維症などの間質性肺疾患
 3 肺結核後遺症
 4 認知障害を呈する慢性呼吸不全患者への作業療法
 5 在宅のケース

 呼吸器疾患をもつ人の多くは、日常生活の中で重い息切れを体験し、それによってADLやIADLが大きく制約されている。また、慢性的な経過から、心理的不安や抑うつを抱えることも少なくない。そのような背景から近年、包括的呼吸リハにおける作業療法士の役割が重要視され、多くの作業療法士の参入が望まれている。
 そこで本マニュアル①では、作業療法の意義と呼吸リハの一般的評価、作業療法評価、心理的評価、心理的アプローチについて述べた。特に作業療法評価や心理的評価では、評価の留意点だけでなく解釈のポイントまで丁寧に解説したので参考にしてほしい。マニュアル②では、ADL・IADL支援とリスク管理、事例について記載した。特にADL・IADL支援については、遂行動作一つ一つに詳細な介入方法を示しているので、手に取ったその日から役に立つはずである。

 


 

作業療法マニュアル 47
がんの作業療法① 改訂第2版

 

 執筆者
  田尻 寿子
  窪 優子
  小林 隆司
  近藤 恵美
  櫻井 卓郎
  島崎 寛将
  高田 明子
  中澤 英之
  藤井 美希
  丸山 朋美
  三木 恵美
  南 征吾
  吉澤 いづみ
  
  2011年3月31日 第1刷
  2019年11月29日 発行  A4変形

Ⅰ がんの基礎知識
Ⅱ がんに対する「作業療法」の実際
 1 脳腫瘍
 2 頭頸部がん,頸部郭清術後の副神経麻痺
 3 肺がん
 4 乳がん
 5 リンパ浮腫への対応
 6 造血器腫瘍
 7 骨軟部腫瘍,骨転移
No.48へ続く


 

作業療法マニュアル 48
がんの作業療法② 改訂第2版

 

  田尻 寿子
  窪 優子
  小林 隆司
  近藤 恵美
  櫻井 卓郎
  島崎 寛将
  高田 明子
  中澤 英之
  藤井 美希
  丸山 朋美
  三木 恵美
  南 征吾
  吉澤 いづみ
  
  2011年3月31日 第1刷
  2019年11月29日 発行  A4変形

No.47からの続き
Ⅲ 緩和ケアが主体となる時期の作業療法
 1 総論
 2 事例


 


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作業療法マニュアル 49
通所型作業療法

 

 執筆者
  村井 千賀
  竹内 さをり
  榎森 智絵

 2011年10月20日 発行  A4変形

 

Ⅰ 通所における作業療法
Ⅱ 通所型作業療法の対象者と目的
Ⅲ 作業療法の手順
 1 生活行為向上マネジメント
 2 生活行為向上プランの立て方
 3 アプローチ終了後
 4 評価方法
 5 アプローチ方法(治療方法)
 6 アプローチ環境
Ⅳ 通所での実際
 1 提供時間とスケジュール
 2 具体的な目標設定と自己評価
 3 通所利用時だからこそできる自立支援
 4 実践例
 5 多職種との連携
 6 家族との連携
Ⅴ 支援事例の紹介
Ⅵ 通所における作業療法の効果

 日本作業療法士協会が推進している「人は作業をすることで健康になれる」のモデルの一つである生活行為向上マネジメントを基に、通所型での実践方法をマニュアルとしてまとめた。
 本マニュアルは、作業療法の提供形態である通いでの作業療法サービスのあり方について、卒業して間もない若い作業療法士や通所型で初めて働く作業療法士のためのマニュアルとして作成した。特に、ADLやIADL、余暇活動など人の生活行為の回復に焦点を当てた生活行為向上マネジメントのアセスメント方法及びプランの立案方法を具体的に教示し、その介入による効果測定の評価方法について紹介している。また、利用者の能力を改善するために、基礎、基本、応用、社会適応メニューを段階的に組み合わせ導入しアプローチする生活行為向上プログラムを、具体的な書式や写真、工夫などを盛り込み、容易に実践ができるよう紹介している。さらに、通所での環境整備のあり方や一日の流れの工夫、家族指導への具体的方法、他職種とのチーム活動の留意事項についても具体的に紹介している。
 平成24年度介護保険制度改正では、通所介護のアクティビティプログラムの見直しが論じられ、利用者が選択できるプログラムとして生活行為向上プログラムが導入されることとなった。作業療法士が生活行為向上プログラムのプロフェッショナルとなるためのマニュアルとして活用されることを強く願い、発刊のご紹介をさせていただく。

 


 


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作業療法マニュアル 50
入所型作業療法

 

 執筆者
  浅野 有子
  石井 利幸
  大瀧 雅世

 2012年3月31日 発行  A4変形

 

Ⅰ 入所型作業療法総論
Ⅱ 入所型作業療法の流れ
 1 入所型作業療法の手順
 2 記録・報告書の書き方
 3 連携・管理運営
Ⅲ 入所型作業療法実践事例
 1 自宅復帰(ADL系)
 2 BSPDが著明で本人の意志が確認できない重度認知症の対象者への作業療法
 3 ケアマネジメント事例と作業療法
Ⅳ 書式集
Ⅴ 文献

 医療機関における入院期間は年々短縮傾向にあり、早い段階で介護保険施設を利用する方が多くなっている。それに伴い介護保険施設における作業療法の対象者は、急性期から慢性期、壮年から後期高齢者まで多岐に渡るようになった。そして、必要最小限のセラピスト数は法律上変わってはいないものの、質・量ともに必要とされ、新人として入職することも増えてきている。本来であれば、重複疾患や加齢変化に合わせた対応、他(多)部署との関わりなど、豊かな経験が必要とされる領域であるが、経験の浅い作業療法士でも介護保険施設で対応できるように、本書を作成した。チームの中で作業療法士としての役割を果たしながら、生きいきと働けるよう、技と心を理解する一助になれば幸いである。

 


 


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作業療法マニュアル 51
精神科訪問型作業療法

 

 執筆者
  苅山 和生
  香田 真希子
  宮里 直美
  朝倉 起己
  宇田 英幸

 2012年3月31日
 2017年3月31日 第2刷発行  A4変形

 

Ⅰ 地域移行支援の必要性・経緯
Ⅱ 精神科における訪問作業療法の流れ
Ⅲ 包括型地域生活支援プログラム
Ⅳ 訪問作業療法
Ⅴ 事例
 1 包括型地域生活支援プログラム
 2 訪問作業療法
 3 就労支援
Ⅵ 今後の方向と課題
Ⅶ 書式集
Ⅷ 文献集

 わが国の保健医療は、「入院医療中心から地域生活中心へ」の転換期を迎えている。そのような中、平成24年度の診療報酬の改定において精神科入院医療の充実に加え、地域における精神科医療の評価が行われた。
 本マニュアルでは、これまで行われてきた包括型地域生活支援プログラムと作業療法士による精神科領域の訪問支援について、実践を紹介しながら、作業療法士として今後求められる方向とその課題について整理を行った。
 このマニュアルを手にされた方が、在宅での支援を実践していく中で、さまざまな気づきに出会い、少しでも本人が前向きに生活を考えられるような希望をみつける関わりができる一助になることを願っている。

 


 


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作業療法マニュアル 52
アルコール依存症者のための作業療法

 

 執筆責任者
  長雄 眞一郎
 執筆者
  野口 弘之
  古賀 誠
  佐藤 嘉孝
  神田 幸広

 2012年3月31日 発行 A4変形

 

Ⅰ アルコール依存症を取り巻く歴史と制度
 1 アルコールの歴史
 2 アルコール依存症の治療の変遷
 3 現在のアルコール問題
 4 アルコール依存症の展開
Ⅱ アルコール依存症の基礎知識
 1 アルコール依存症とその症状
 2 アルコール関連問題
 3 アルコール関連障害
 4 原因と発症の要因
 5 アルコール依存症の経過
 6 治療について
Ⅲ アルコール依存症者への作業療法の流れ
 1 作業療法への処方・依頼・紹介
 2 インテーク面接
 3 評価(全体像の把握を含む)
 4 計画立案・目標設定・実施
 5 再評価
 6 最後に
Ⅳ 作業療法プログラムの実際
 1 アルコール症専門センターの事例
 2 民間単科精神科病院の事例
 3 地方独立行政法人精神医療センターの事例
Ⅴ アルコール依存症の作業療法実践事例
Ⅵ アルコール依存症に対する作業療法の文献的考察

 わが国の飲酒料は、戦後から最近まで増大し続け、それに伴い様々な飲酒問題が生じてきた。アルコール依存症者は81万人と推計されている一方、厚生労働省の調査によると、アルコール使用による精神および行動の障害で実際に治療を受けている患者数は年間5万人程で、適切な治療を受けていない患者が数多くいると考えられている。
 アルコールは、それが引き起こす多くの病気や外傷といった健康問題に加え、自殺、事故、家庭内暴力、虐待、家庭崩壊、職場における欠勤、失職、借金などの社会問題にも大きく係わっている。特に、アルコール依存症の合併などはうつ病の自殺の危険性を高め、自殺者全体の15~56%にアルコール乱用または依存がみられたと報告されている。
 このように、アルコールの問題は、これまでの患者自身の健康や生活の障害、家族、被害を受けた方々の心理的問題だけではなく、今や社会的問題となっているうつや自殺予防、成人病の予防など、国を挙げての重要な取り組み課題となっている。
 作業療法では、アルコール依存のメカニズムを理解し、代謝系をはじめとした心身機能の障害や日常生活の活動パターン、対人関係の改善などを目的に、その人にとって重要な、大切な、意味のある作業がうまく行えるよう指導、練習することで、リハビリテーションチームの一員として、依存症のリカバリーを支援していく。
 作業療法士がアルコール問題に興味をもち、アルコールの問題を抱える人々の相談が適切に行えるための一つの手引きとなれば幸いである。

 


 


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作業療法マニュアル 53
認知機能障害に対する自動車運転支援

 

 執筆者
  酒井 英顕
  加藤 貴志
  小林 正義
  小林 隆司
  佐々木 努
  末綱 隆史
  山田 恭平
  山本 吾子

 2012年3月31日 発行 A4変形

 

Ⅰ 総論
Ⅱ 法制度
Ⅲ 関係機関の役割
Ⅳ 運転評価の概要
Ⅴ 教習所との連携
Ⅵ 専門機関が一体となった取り組み(岡山県作業療法士会事業部の取り組み)
Ⅶ 運転評価の実例
Ⅷ 代表的症状と様々な疾患に対する評価上の注意点
Ⅸ 事例
Ⅹ 文献

 自動車が量産されるようになって100年あまりが過ぎ、いまやそれは私たちの生活になくてはならない物となっている。そこで本を読み、アイスクリームを食べ、時々宿泊する私にとって、自動車は移動手段以上のものである。想像するに、公共交通機関の利用がままならない者にとっては、自動車運転をやめることは生活をやめることさえ意味すると考えられる。
 本マニュアルは、認知機能に障害を持つ人に対する自動車運転支援のイロハについて解説したものである。これを読めば、私たちが、関係機関の協力を得て、自動車運転が「できる」と「できない」の間に、「練習と工夫によってできる」可能性をもたらす職種であることがわかる。そして、認知機能障害を抱える人に、現行の法制度のもとで、どのような作業療法サービスを提供すれば、自動車運転を通じて自立的地域生活の継続に寄与するかが理解できよう。
 もちろん自動車運転には深刻な事故が伴うので、安易な介入は避けるべきである。しかし、このマニュアルを出発点に、一人でも多くの作業療法士がこの領域で知識・技術を蓄積し、国民の健康に貢献できれば幸いである。

 


 


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作業療法マニュアル 54
うつ病患者に対する作業療法

 

 執筆者
  早坂 友成
  岡崎 渉
  高橋 章郎
  田尻 威雅
  牧 賢美

 2013年3月31日 発行 A4変形

 

Ⅰ うつ病について
 1 気分障害の主症状
 2 うつ病の分類
Ⅱ うつ病治療と作業療法
 1 作業療法の流れ
 2 作業療法の役割
 3 作業療法の専門性と特殊性
 4 うつ病作業療法の治療概念
Ⅲ 事例紹介
Ⅳ 今後の方向と課題
Ⅴ 書式集
Ⅵ 文献

 近年,「うつ病」「自殺予防」といった社会的問題が取り上げられることが増え,厚生労働省においても自殺防止対策および地域・職域におけるうつ病・メンタルヘルス対策の一層の充実を図っている.
 うつ病の治療は「休息・休養」「薬物療法」「精神療法」に加え「リハビリテーション」が柱になっている.作業療法では,作業活動を通して自分自身の生活を振り返り,作業・行動の特性や考え方のクセを認識し,リズムやバランスの整え方を学習する. さらに,暮らしに役立つ技能を高めることができる.
 本マニュアルでは,うつ病の方および抑うつ状態にある方への作業療法について,疾患に対する基礎知識に触れ,作業療法の可能性について紹介する. このマニュアルを手にした方が,うつ病の方および抑うつ状態にある方の支援を実践していく中で,対象者が適切に状況を捉え,ゆとりのある生活のなかから希望が叶えられる作業を提供する一助になれば幸いである.

 


 


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作業療法マニュアル 55
摂食嚥下障害と作業療法-吸引の基本知識を含めて

 

 作成協力者
  今井 宏美
  植田 友貴
  榎本 麻里
  神作 一実
  塩津 裕康
  西方 浩一

 2013年3月31日 発行
  2018年3月31日 第2刷 A4変形

 

Ⅰ 「食べる」ということ
 1 「食べる」ということが意味するもの
 2 安全においしく、楽しい食事のために
Ⅱ 「摂食嚥下」の基礎知識
 1 摂食嚥下機能に関連した器官の構造と機能
 2 摂食嚥下の5期モデルとプロセスモデル
 3 口腔機能と食形態
 4 誤嚥性肺炎と口腔ケア
Ⅲ 「摂食嚥下」と作業療法
 1 食べるというセルフケアとしての「摂食嚥下」
 2 「摂食嚥下」の評価
 3 「摂食嚥下」の作業療法介入の考え方
 4 作業療法の実際
Ⅳ 「喀痰等」の吸引
 1 チーム医療と「喀痰等」の吸引行為
 2 吸引のための安全管理の基礎知識
 3 吸引のためのアセスメント
 4 吸引の手順・方法
 5 感染予防と衛生管理

 日常生活活動(ADL)のうち、「食事動作」は対象者の自立の希望が高い動作の1つである。しかし、「食事をする」という行為では、単に食事の動作ができるだけでは足りず、食物を口に運んでからの「噛む」「飲み込む」といった一連の過程を経て、消化に至ることが大切である。
 本マニュアルは、「摂食と嚥下」に焦点を当て、その基本的な理解と障害に対しての作業療法の評価と介入について、小児から老年期までを幅広く網羅した。特に、「咀嚼」」「嚥下」に関連する食物形態では、普段ではあまりかかわりがない作業療法士にもわかりやすいように写真で解説するなど、視覚的に理解できるように工夫に努めた。また、事例でも、対象者や家族にとって「食べること」の大切さに配慮した内容から、介入していく過程で考える点や注意する点に重点を置いている。
 後半は、喀痰等の吸引について、基本的に知り得るべき内容と吸引の実際の手順を写真で解説した。特に、安全管理、感染予防と衛生管理は、作業療法士としても今一度初心に戻って確認すべき事項と考えている。  本マニュアルが、摂食嚥下障害の対象者にとって安心、安全な作業療法を提供できる指針になれば幸いである。

 


 


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作業療法マニュアル 56
子どもに対する作業療法

 

 作成協力者
  中路 純子
  有川 真弓
  今川 雅代
  岸 良至
  田辺 美樹子
  三澤 一登

 2014年3月31日 発行 A4変形

 

Ⅰ 子どもに対する作業療法(総論)
 1 障害があることと子どもの発達 -良質の経験-
 2 障害のある子どもの就学までの生活の地図
Ⅱ 子どもの評価
 1 作業療法士が行う評価とは
 2 評価の手段と使い方
 3 評価結果の示し方
Ⅲ 子どもに対する作業療法の実際
 1 家族のサポート -子どもと家族の幸せのために-
 2 遊びのサポート -豊かな遊びの世界を広げる-
 3 日常生活のサポート -われら日常生活応援団-
Ⅳ 子どもの生活を支える地域の資源
 1 障害児が通うための場所,利用できるサービス
 2 幼稚園と保育所
 3 学校
Ⅴ 文献

 協会が発行しているマニュアルは、作業療法士になって3年程度までの方を対象として編集されている。このマニュアルも「初心者にわかる」をコンセプトに、乳幼児期への関わりに必要な作業療法の考え方をまとめている。一人でも多くの方が子どもに対する作業療法に挑戦してほしいという執筆者らの思いが込められており、作業療法士が関わる切り口として、1)家族のサポート、2)遊びのサポート、3)ADLのサポートを3つの柱として示している。子どもは、地域の中で家族と暮らし、地域の中で育つ存在なので、家族や地域で対象児と関わる人たちとの情報交換や連携の重要性についても述べている。本マニュアルの中で示されている数多くの事例を通して、作業療法や連携の大切さがより深く理解できるであろう。ライフステージに沿って、「障害があるために出来ない当たり前の生活と経験」を目標として早期から作業療法が実施されれば、子ども達の生活環境を変化させ、大人になったときの生活力を引き上げることは可能と思われる。こうした作業療法の関わりが全国のあらゆる地域で増えることを願っている。是非、マニュアルを手に取って参考にし、作業療法を必要としている子どもたちへ積極的に関わっていただきたい。

 


 


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作業療法マニュアル 58
高次脳機能障害のある人の生活・就労支援

 

 作成協力者
  青木 明子
  川原 薫
  作田 浩行
  野々垣 睦美
  松原 麻子
  守谷 梨絵

 2015 年3 月31 日 第1刷発行  発行 A4変形
 2023 年3 月31 日 第2刷発行  発行 A4変形

 

Ⅰ 総論
 1 高次脳機能障害という用語について
 2 脳の機能解剖とその障害
 3 高次脳機能障害の症状
 4 原因の違いによる症状の特徴
Ⅱ 高次脳機能障害の評価
 1 入院期の評価
 2 地域生活期の評価
Ⅲ 高次脳機能障害のある人に対する支援
 1 活用できる制度
 2 入院期の支援
 3 地域生活期の支援
 4 就労支援
Ⅳ 事例
 1 回復期においてADL評価にA-ONEを用いて介入を行った事例
 2 地域生活開始直前から一人暮らしに向けて支援を開始した事例
 3 退院後数年経過してから支援開始となった事例
 4 脳外傷による自己認知低下のため,就労を急ぐ対象者へ寄り添った長期の関わりにより,安定した就労に至った事例
Ⅴ 書式・評価紹介
Ⅵ 文献集

 作業療法マニュアル「高次脳機能障害のある人の生活・就労支援」は,主に病気や事故により高次脳機能障害を負った方への,入院期から地域生活期の生活支援を中心として作成している.障害を抱えながら,生活している人をどのような視点で評価し,介入していくかの道筋を示している.
 平成22年3月の厚生労働省医政局通知にて,高次脳機能障害のリハビリテーションが作業療法の範疇として明確に示され,作業療法士は,高次脳機能障害のある人の生活・就労支援に対して,積極的に関与することが期待されている.
 高次脳機能障害のある方は,その原因が脳卒中や事故による頭部外傷,先天性のものなど様々で,若年の方から高齢者まで年齢層も幅広い.作業療法士が関わる時期も疾患の急性期から地域生活期まで,幅広く関わる.本文でも述べているが,医学用語としての「高次脳機能障害」と行政で障害名として用いられる「高次脳機能障害」とでは,用語の用い方(意味や範囲)に差がみられる.これは社会的な関心が高まり,支援の対象として広がってきたためでもある.
 作業療法士として大切なのは,入院期でも地域生活期でも,高次脳機能障害のある対象者の「生活」を支援するという視点である.「生活」はADLやIADLだけではなく,就労などの社会参加も含まれる.
 このマニュアルは,高次脳機能障害のある人の生活・就労支援に新しく関わる作業療法士を想定して作成した.評価と支援の方法については,大きく入院期と地域生活期に分けて説明している.事例を読むことで,入院期や地域生活期,就労支援と,生活の場面やテーマに合わせ,作業療法士が対象者の生活に寄り添いながら支援していく姿が,感じ取れるであろう.多くの会員がマニュアルを手に取り,関わっていくことで,結果として高次脳機能障害を抱える多くの方たちの自己実現に寄与できれば幸いである.

 


 


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作業療法マニュアル 60
知的障害や発達障害のある人への就労支援

 

 作成協力者
  石附 智奈美
  土居 義典
  仲地 宗幸
  中村 俊彦
  二宮 彰浩
  三嶋 真実
  峰野 和仁

 2016年3月31日 発行 A4変形

 

Ⅰ 知的障害者の就労に関する歴史と法制度の変遷
 1 戦後の社会背景と法制度の変遷
 2 知的障害者,発達障害者の就労支援に関する最近の動向
 3 知的障害者,発達障害者の就労支援と作業療法
Ⅱ 就労支援を支える社会資源
 1 活用できる制度
 2 労働政策的側面からの支援
 3 福祉施策的側面からの支援-総合支援法における就労支援サービス
 4 地域独自の社会資源の活用
 5 相談支援の事例
Ⅲ 各施設種別における作業療法の実際
 1 特別支援学校
 2 就労移行支援事業所
 3 就労継続支援B型事業所
 4 障害者就労支援センターにおける一般企業への就労支援
 5 就労継続支援A型事業所
Ⅳ 書式集
Ⅴ 文献集

 仕事(働いて収入を得ること)という作業を行うことで,人は社会への所属感や役割感覚を持つことができ,達成感から有能感を得て自分の価値を高めることができる.仕事に就き,生活をしていくという「就労」を支援するための作業療法マニュアルが,このたび完成した.
 厚生労働省は,「働く意欲のある人たちの安定した雇用の実現を目指して」 様々な見直しと取り組みを行っている.以前の障害者雇用は,福祉的就労(保護的就労)である小規模作業所に働く場を委ねられることが多かった.しかし,障害者総合支援法をはじめとした法律や制度が徐々に整備され,活動や参加に焦点をあてた支援の重要性が強調されることとなり,対象者に応じた働く場所の確保や拡大,地域全体で支援する展開が求められるようになっている.
 このマニュアルでは,知的障害や発達障害のある人に焦点をあてて,就労に関する歴史と法制度の変遷や現在の社会資源について記述し,就労支援の実際について,作業療法士の役割や視点を特別支援学校や施設種別ごとの事例を通して紹介している.仕事に就くという側面だけでなく,そこに至る過程や対象者の生活に寄り添い,強みや価値観を尊重しながら就労を支援する作業療法の姿を感じ取っていただきたい.このマニュアルを多くの作業療法士に手に取っていただき,就労支援への関心を広げて今後の作業療法の展開に生かしていただきたい.

 


 


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作業療法マニュアル 61
大腿骨頚部骨折/転子部骨折の作業療法 第2版

 

 作成協力者
  泉 良太
  小林 勇矢
  島崎 一也
  平賀 勇貴
  許山 勝弘
  原田 伸吾
  花房 謙一

 2017年3月31日 発行 A4変形

 

Ⅰ 総論
 1 大腿骨頚部骨折と転子部骨折の定義
 2 疫学・危険因子
 3 医学的診断・分類・治療
 4 リハビリテーション
 5 作業療法の役割と視点
Ⅱ 急性期の作業療法
 1 急性期の作業療法士の役割
 2 術前の評価と介入のプロセス
 3 術後の評価とプロセス
 4 まとめ
Ⅲ 回復期の作業療法
 1 地域連携クリティカルパス
 2 回復期の作業療法士の役割-退院後の生活に向けた活動・参加に対するアプローチ
 3 評価と介入のプロセス
Ⅳ 生活期の作業療法(予防を含む)
 1 生活期の作業療法士の役割
 2 転倒予防
 3 評価と介入のプロセス
Ⅴ 事例報告
 1 急性期のアプローチ-併存疾患を有する高齢者の事例
 2 回復期のアプローチ-目標達成に向けて作業療法を実践した人工骨頭置換術後の事例
 3 認知・精神機能の問題をもつ対象者へのアプローチ-人工骨頭置換術後に自宅退院が困難となったアルツハイマー型認知症高齢者の事例
Ⅵ 文献

 2010年に初版を発行したが、この度内容を見直して第2版を発刊した。本マニュアルは、大腿骨頚部/転子部骨折を受傷した対象者に対する作業療法臨床実践の経験が少ない作業療法士の手引きとなるように意図して編集されものである。
 大腿骨頚部/ 転子部骨折は高齢者の受傷率が高いことから、主に高齢者に対するアプローチに焦点を当てている。高齢者が抱える特有の問題としては、せん妄や認知症などの認知・精神機能の問題、摂食嚥下機能や栄養状態の問題、意欲低下やうつ状態などの心理的問題、併存疾患、転倒リスクなどが挙げられるが、これらの問題を考慮した作業療法支援のポイントを詳説した。また、本人と家族の作業ニーズに基づく活動・参加に焦点を当てたアプローチの具体例も多く取り入れた。
 第1章総論では、大腿骨頚部/転子部骨折の基礎知識とリハビリテーションおよび作業療法の役割について概要を示した。第2章~第4章では、急性期、回復期、生活期(予防期を含む)の各病期における作業療法士の役割および評価と介入のプロセスを詳説した。急性期のアプローチでは、せん妄の予防や術前・術後の評価と基本動作およびADL指導などについて述べた。回復期のアプローチでは、退院後の本人の目標や生活環境に合わせた、活動や参加を促す道筋、医療連携およびクリティカルパスについて述べた。生活期のアプローチでは、セルフケアのみならず作業ニーズに基づく作業療法介入や転倒予防の支援について述べた。第5章は事例報告で、急性期の併存疾患を有する高齢者の事例、リスク管理教育と動作練習により自己効力感が向上し在宅復帰に至った回復期の事例、重度の認知症高齢者に対して多職種連携により、本人や家族の意向に沿ったアプローチを行い在宅復帰に至った事例を示した。
 本マニュアルを活用し、活動と参加に焦点を当てた作業療法の実践が、どこでもどの時期でも繰り広げられていくことを期待したい。

 


 

作業療法マニュアル 62
認知症の人と家族に対する作業療法

 

 執筆協力者
  小川 敬之
  内田 達二
  駒井 由起子
  竹原 恵子
  西田 征治
  山口 智晴
  竹原 敦
  上城 憲司
  田平 隆行
  猪股英輔
  上村 淳
  谷川 良博

 2017年8月31日 発行 A4変形

 

Ⅰ 作業療法の対象としての認知症の人
 1 高齢期と認知症
 2 若年性認知症と作業療法
Ⅱ 認知症の人と家族に対する作業療法の実際
 1 認知症の人の行動・心理症状(BPSD)とADL評価
 2 認知機能の評価と実践
 3 作業遂行の評価と実践
 4 意欲と役割の評価と実践
 5 認知症の人を介護する家族の介護負担と評価
 6 生活行為向上マネジメント(MTDLP)に基づく評価と実践
 7 軽度認知障害(MCI)と認知機能低下予防の評価と実践
Ⅲ 認知症の人に対する作業療法の実践事例
 1 趣味活動などその人らしさに着目し,施設内多職種連携を促進することで落ち着いた生活を送ることができるようになった事例-介護老人保健施設(生活期)における作業療法の関わり
 2 認知症初期集中支援チームによって介入した事例
 3 就労継続支援から始まり,地域生活へソフトランディングができた若年性認知症の事例
 4 仕事の継続のために生活行為向上マネジメント(MTDLP)を活用した事例
Ⅳ 文献-認知症の人と家族に対する作業療法を知るために

 わが国の認知症の人は2020年には700万人以上になると推計されており,急激な増加が予想されている。この未曾有の増加に対し厚生労働省は,「認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)」を策定し,病院や施設の入院・入所から地域と家族支援強化の大切さを施策に反映させた。国のレベルでも作業療法士の役割がますます期待されるようになったと思われる。こうした動きを背景に,今回,『認知症の人と家族に対する作業療法』を発刊した。  「第Ⅰ章 作業療法の対象としての認知症の人」は,高齢および若年性認知症の人の理解に関する内容。「第Ⅱ章 認知症の人と家族に対する作業療法の実際」は,BPSDから見たADL評価の方法,認知機能と評価の捉え方,作業の視点から見た評価の視点,意欲と役割の評価の方法,介護者と家族の評価,生活行為向上マネジメント(MTDLP)による実践,軽度認知障害(MCI)と予防の捉え方に焦点を当てた内容。「第Ⅲ章 認知症の人に対する作業療法の実践事例」は,介護老人保健施設や認知症初期集中支援チーム,若年性認知症の人に対する作業療法の実践事例。また,巻末の「第Ⅳ章 文献-認知症の人と家族の作業療法を知るために」では,実践に参考となる若干の書籍を紹介している。いずれも認知症の人に関わる実践で活躍している作業療法士による現実に即した内容である。
 最初の章から順番に読み進めながら,認知症の人と家族に対する作業療法の全体を学ぶのもよいが,日々の実践の中で解決すべき内容に合わせて,第Ⅱ章に書かれている実践の視点や第Ⅲ章の事例など,その時々の必要に合わせて読むのもよいと思う。本書を手に取る皆さまにとって,少しでもお役に立つことができれば幸いである。

 


 

作業療法マニュアル 63
作業療法士ができる地域支援事業への関わり方

 

 執筆協力者
  宮永 敬市
  村井 千賀
  小林 法一
  佐藤 孝臣

 2017年9月20日 発行 A4変形

 

Ⅰ 地域支援事業とは
 1 地域包括ケアの実現に向けた地域支援事業
 2 地域支援事業の概要
 3 介護予防・日常生活支援総合事業
 4 包括的支援事業
Ⅱ 地域リハビリテーション活動支援事業と作業療法士の活動方法
 1 地域リハビリテーション活動支援事業とは
 2 作業療法士が関わるために必要な力
 3 活動するための組織化と留意事項
Ⅲ 地域支援事業における作業療法士の関わりのポイント
 1 介護予防・生活支援サービス事業における関わりのポイント
 2 一般介護予防事業における通いの場のつくり方
 3 地域ケア会議への作業療法士の関わり方

 介護保険制度は,介護給付と介護予防給付,地域支援事業の3つの大きな柱で構成されている。地域支援事業は2006(平成18)年度に導入され,地域包括ケアシステムの実現を目指し,2015(平成27)年度に事業の枠組みが大きく改正された.
 介護保険自体が自立支援を促す制度であり,そのなかでも地域支援事業は要介護や要支援状態になる前から介護予防を図ること,要介護状態になったとしても住み慣れた地域でその持っている能力を活用し,できるだけ自立した日常生活が送れるように支援することを目的としている。それを実現するための様々な事業が盛り込まれている。総合事業といわれる介護予防・日常生活支援総合事業,介護予防・生活支援サービス事業や一般介護予防事業,地域リハビリテーション活動支援事業等は,地域支援事業であるし,地域包括支援センターの運営や地域ケア会議の充実,認知症初期集中支援チームの事業も地域支援事業である。
 作業療法マニュアルは,初学者向けの内容とすることを基本としている。今回発刊したマニュアルは,作業療法士となって3年未満程度の方を主対象と考え,地域支援事業をできるだけわかりやすく説明し,そのなかで作業療法士ができる支援方法について示している。
 マニュアルでは地域支援事業の背景やその目指す方向,地域支援事業の中で取り組まれる様々な事業について解説した.そして,地域リハビリテーション活動支援事業の中で作業療法士に必要となる力や期待されている役割,介護予防・生活支援サービス事業における関わりのポイント,一般介護予防事業における通いの場の作り方,地域ケア会議への関わり方について紹介している。
 このマニュアルをきっかけに,活動と参加へのアプローチを得意とする作業療法士の視点が地域住民の方々に届くこととなり,住民の主体的な活動を促し,作業療法士ができる地域での関わりが広がることになればと願うものである。

 


 

作業療法マニュアル 64
栄養マネジメントと作業療法

 

 執筆協力者
  大野 泰輔
  近野 智子
  齋藤 嘉子
  佐藤 ことみ
  助金 淳
  田中 舞
  田淵 圭一
  中島 可菜子
  山根 一恭
  守谷 梨絵

 2018年3月30日 発行 A4変形

 

Ⅰ 総論
 1 リハビリテーションと栄養管理
 2 栄養の基礎知識
 3 リハビリテーションで問題になる栄養障害
 4 NSTについて
Ⅱ 評価
 1 栄養評価
 2 作業療法評価
Ⅲ 介入方法
 1 入院・施設での関わり
 2 在宅での関わり
Ⅳ 事例紹介
 1 心因性味覚障害から低栄養に至った事例への作業療法介入
   -脳梗塞後の障害受容過程でうつ状態となった事例
 2 多職種協働でのリハビリテーション栄養アプローチにより,大学復学に至った事例
 3 胃瘻を用いたことにより経口摂取が可能となり,自宅退院に至った事例
Ⅴ 文献

 

 本マニュアルは、栄養状態に問題を有した対象者に対する作業療法士の支援内容をまとめました。作業療法の対象者の中には、低栄養など栄養状態が不良となっている対象者が少なくありません。栄養状態の改善なしに、心身機能や生活行為の改善には結び付きにくいものです。栄養状態を把握せず作業療法を行うと、活動と参加の状態を改善できないばかりか、かえって原疾患の悪化に結びつくこともあります。そこで、栄養のマネジメントには、作業療法士を含めた多職種の連携が重要です。その中で、作業療法士には、対象者の栄養状態に応じた活動と参加への支援が求められています。また、多角的な視点で対象者の活動と参加に関わることで、栄養状態の改善へ導くことも期待されています。
 本マニュアルは、栄養に関する基礎知識や栄養状態の評価、作業療法で必要な評価、栄養状態に応じた支援内容について、入院や施設、在宅に分け具体的に示しています。また、事例をとおして、作業療法士が栄養状態の改善に向けてどのように介入し、対象者の主体的な活動を引き出して参加を促すのか、その具体的な関わり方を示しています。
 理学療法士・作業療法士学校養成施設指定規則の改定に伴い、栄養学の必修化が検討されていること、リハビリテーション総合実施計画書に栄養の項目が追加されたことなど、栄養の知識が欠かせないものになってきています。このマニュアルをきっかけに、多くの作業療法士が、栄養改善に向けた作業療法を展開し、対象者にとって意味のある生活行為に導いていけることを期待します。

 


 

作業療法マニュアル 65
特別支援教育と作業療法

 

 執筆協力者
  有川 真弓
  鴨下 賢一
  酒井 康年
  嶋谷 和之
  高島 紀美子
  辻 薫
  中路 純子
  三澤 一登
  森 直樹
  吉岡 和哉

 2018年10月30日 発行 A4変形

 

Ⅰ 特別支援教育の作業療法総論-学校に関わるときの基本的態度
 1 はじめに
 2 求められる基本的知識
 3 学校を知ることとは
 4 作業療法士に求められていること
 5 学校という場所で作業療法士が働くということ
 6 特別支援教育に作業療法士が関わるために
Ⅱ 特別支援教育の基礎知識
 1 障害児教育の変遷
 2 教育制度の理解-「学校」という仕組みと環境の理解
 3 特別支援教育の制度
 4 特別支援教育における教育と役割
Ⅲ 特別支援教育制度で作業療法士が関与可能なモデル
 1 作業療法士が学校に関わるためには
 2 作業療法士の学校への関わりモデル
 3 作業療法士の学校への関わりの実際-試行錯誤のなかからの関係構築
Ⅳ 総合的なアセスメント
 1 何をアセスメントするのか
 2 通常学級でアセスメントするときのポイント
 3 特別支援学級・特別支援学校でアセスメントするときのポイント
 4 統合と解釈
Ⅴ 学校における作業療法士による支援の組み立て方
 1 支援の基本的考え方
 2 具体的な支援内容を考えるための手順
 3 支援内容を検討するときに留意すること
 4 具体的な支援内容の提案
 5 具体的な支援内容を提案するときの留意点、配慮点など
 6 面談をする際の留意点
Ⅵ 学校における作業療法支援の実際-事例を通して
 1 特別支援学校での支援
 2 小学校の通常学級での支援
 3 中学校の特別支援学級での支援
Ⅶ 文献

 

 

 2007 年に法的に位置付けられた改正学校教育法により,全ての学校において特別支援教育を推進することが周知され10 年が経過しました.特別支援教育制度の推進を契機に,関心をもつ作業療法士が増えてきているとともに,実際に教育現場へ関わる機会も増えてきています.
 一般社団法人日本作業療法士協会では,過去10 年間の関与実績をもとに,個で異なる障害の特性や合理的配慮・基礎的環境整備の視点に沿った作業療法支援のモデルを提示し,各作業療法士への周知および取り組みへの推進とともに,多職種へのアピールも重要な課題として取り組んできました.作業療法士が教育の領域で関わるためには,教育現場・教員の専門性を理解した多職種連携が必要です.今後,より多くの作業療法士が,教員の児童生徒への教育活動の充実につながる関わりが持てるようになることを目指しています.
 作業療法マニュアルシリーズは,初学者向けの内容とすることを基本としていますが,本マニュアルは,作業療法士となって3年未満程度の方に加え,これから特別支援教育に関わる全ての作業療法士を対象と考え,学校に関わるときの基本的態度や特別支援教育の基礎知識をできるだけわかりやすく説明し,実際に特別支援教育に関わるときのアセスメント項目や支援の組み立て方について示しています.さらに,特別支援教育に関わったことのない作業療法士でも支援のイメージが持てるように,学校種別ごとの作業療法支援の実際について事例を通して示しました.
 このマニュアルを活用しながら,教育と協働できる作業療法士が増え,特別支援教育における作業療法士の必要性が高まることを期待しています.

 


 

作業療法マニュアル 66
生活行為向上マネジメント 改訂第3版

 学術部学術委員会生活行為向上マネジメント班

  竹内 さをり
  塩田 繁人
  柴田 八衣子
  石川 隆志
  田村 大

 執筆協力者
  小林 正義
  小林 隆司
  東 登志夫
  谷川 真澄
  村井 千賀
  
 2018年12月20日 発行 A4変形

 

Ⅰ 生活行為向上マネジメントの概要
 1 生活行為向上マネジメントの背景
 2 生活行為向上マネジメントの理論的位置づけ
 3 生活行為向上マネジメントの用語整理
 4 作業療法概念の変遷と作業療法の定義改定
Ⅱ 生活行為向上マネジメントの考え方
 1 生活行為の考え方
 2 生活行為の障害
 3 マネジメントとは
 4 生活行為向上マネジメント実践の軸となる考え方
Ⅲ 生活行為向上マネジメントの解説
 1 生活行為向上マネジメントのプロセス
 2 実践事例紹介
 3 各領域における生活行為向上マネジメント活用方法
Ⅳ 評価指標について
 1 評価の重要性
 2 生活行為向上マネジメントで用いられる評価指標
Ⅴ 事例
 1 回復期の事例:家事動作の再獲得を目標にすることで役割の再獲得が可能となった事例
 2 急性期の事例:「大工に戻りたい」と希望する気管切開・人口呼吸器管理となった頸髄損傷(C6)男性に対する急性期作業療法
 3 精神科の事例:就労を希望する妄想性障害の男性に対する外来作業療法
資料

 

 

 今回の改訂のポイントは、生活行為向上マネジメント(MTDLP)の考え方をより理解しやすくなるよう、第2版から一部構成を変更しました。基礎研修から実践者研修、事例報告登録にも活用いただける内容が含まれています。また、作業療法概念の変遷と作業療法の定義改定という項目を加筆しています。
 構成の変更点として、これまでは生活行為向上マネジメントの解説に含めていた“考え方”に、「マネジメントとは」、「生活行為向上マネジメント実践の軸となる考え方」の説明を加えました。 特に「生活行為向上マネジメント実践の軸となる考え方」として大切な3つの視点、①活動から参加までを包括的に捉える視点、②過去から現在,将来まで連続している生活として捉える包括的視点、③作業の拡がりという包括的視点、について詳述しています。また、24時間365日営まれる生活行為を把握した関わりが大切であること、合意した目標を、作業療法士のみで決めるのではなく,本人や家族,他職種との合意形成を経て決めるといった、生活行為向上マネジメント実践の要となる内容を分かりやすく説明しています。これらの内容は、これまでの事例報告登録において、追加の記載を求めることが多かった内容であり、生活行為向上マネジメント実践には欠かせない視点です。
 さらに、これまでの回復期と精神科の事例に加えて,新たに急性期の事例を記載しました。急性期から回復期、生活期へとつながる生活イメージを持つ一助となると考えます。
 上記内容が加わり、基礎研修や実践でも活用できるボリュームとなっています。実践に役立つマニュアルとして、大いにご活用ください。

 


 

作業療法マニュアル 67
心大血管疾患の作業療法 第2版
 

 執筆協力者
  生須 義久
  笹井 祥充
  塩田 繁人
  鈴木 真弓
  竹林 崇
  村井 達彦
  山下 遊平
  
 2019年3月30日 発行 A4変形

 

Ⅰ 心大血管の基礎
 1 解剖学的基礎
 2 運動生理学的基礎
Ⅱ 心大血管疾患リハビリテーションの基礎
 1 心臓リハビリテーションの概要
 2 心大血管リハビリテーションの対象疾患
Ⅲ 作業療法実施時の評価
 1 循環器系評価
 2 呼吸器系評価
 3 フィジカルアセスメント
 4 活動性評価
 5 運動耐容能評価
 6 運動機能評価
 7 認知・精神機能評価
 8 ADL,QOL評価
 9 参考となる指標
Ⅳ 心大血管疾患患者の作業療法
 1 作業療法士の役割
 2 病期別作業療法
 3 作業療法実施時の注意点
 4 心臓リハビリテーションと生活行為向上マネジメント
 5 心大血管疾患の憎悪予防・再発予防のための生活介入
引用参考文献
略語集

 

 循環器疾患については,厚生労働省の報告書等によれば死因順位別の死亡数の第2位が心疾患で,死亡率・死亡数ともに増加傾向が続いており,医科診療医療費の総額約30兆円のうち,20%近くを循環器疾患が占めている状況である.人口の高齢化に相応して心不全患者は増加しており,現在120万人程度の心不全患者が2035年頃まで増加し続けるとの推計もあり,早急な対策が必要とされている.
 心臓リハビリテーションは,生活習慣の改善による心疾患の発症予防や再発予防を図り,ひいては患者のQOLや生命予後の改善を目的に,多職種協働で多面的・包括的に取り組まれるものである.作業療法士には,ADLやIADL,社会参加などの対象者がしたい,する必要がある,することが期待されている作業や活動を把握し,評価に基づきその改善を図ることが期待されている.
 作業療法士による心大血管疾患リハビリテーション料の保険請求が可能となったのは2014(平成26)年で,それ以来心臓リハビリテーションにおける作業療法士の参画は,年々増加しており今後も増え続けることが予想される.心臓リハビリテーションは多職種による多面的な介入を基本としていることもあり,作業療法士がこの分野で必要とされる存在であり続けるためには,多くの知識と技術を必要とする.
 また循環器疾患を抱える対象者は,心臓リハビリテーション領域以外のあらゆる領域で,急性期や生活期などの時期にかかわらず,多数存在すると思われる.このマニュアルは,そうした対象者の作業療法にも有益な情報を提供してくれる.是非このマニュアルを,多くの作業療法士に役立てていただきたい.

 


 

作業療法マニュアル 68
作業療法研究法マニュアル 改訂第3版
 

 執筆協力者
  石橋 裕
  小林 法一
  谷村 厚子
  笹田 哲
  
 2019年4月26日 発行 A4変形


Ⅰ 研究とは
 1 研究の意義
 2 研究の進め方
Ⅱ 量的研究
 1 量的研究の枠組み
 2 研究の信頼性・妥当性
 3 量的研究法の種類
 4 研究成果の発表
 5 量的研究法のまとめ
Ⅲ 統計解析の基礎知識
 1 統計手法のフローチャート
 2 統計的有意差と臨床的有意差
 3 パラメトリック検定とノンパラメトリック検定
 4 標準偏差と標準誤差
 5 正規分布
 6 2群間の差の検定
 7 相関と回帰
 8 多変量解析
 9 図と表の書き方
 10 おわりに
Ⅳ 質的研究
 1 質的研究とは
 2 主な質的研究方法
 3 データ収集
 4 質的研究の信頼性と妥当性
 5 質的研究の進め方と論文の作成
 6 質的研究のまとめ
Ⅴ 事例研究
 1 事例研究とは
 2 事例報告の作成
 3 シングルシステムデザイン
 4 事例研究のまとめ
Ⅵ 研究の倫理
 1 倫理的配慮
資料

 私たちが所属する日本作業療法士協会とは、作業療法士の学術・技能の研鑽及び人格の陶冶に努め、作業療法の普及発展を図り、もって国民の健康と福祉の向上に資することを目的とし事業を行っている団体である。私たちには作業療法の成果を示していくとともに、その学術的基盤を強化し、質・量ともにサービスの向上を図り、広く国民の健康増進に寄与することが求められているのである。そのために、協会では、「事例報告登録制度」や「課題研究助成制度」を行っている。
 さて、「研究」と聞くと、硬いとか難しいというイメージを受けるかもしれない。しかし、自分自身の臨床における作業療法の向上のために、臨床を検証する研究を行って公表することは、他の作業療法士にとっても有用な情報になり、対象者へも還元されることとなる。研究することが、よりよい作業療法サービスの提供と資質の向上をもたらしてくれるのである。そのためには、研究デザインの基礎知識や統計学、事例研究法について理解を深める必要がある。また研究を行う際には、近年「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」が改定されたこともあり、倫理的配慮に注意する必要がある。
 本マニュアルは、臨床実践を始めて間もない作業療法士が、作業療法の臨床研究を始める手引きとして使用することを想定し、執筆編集している。研究の意義、量的研究、統計解析の基礎知識、質的研究、事例研究、研究の倫理の章立てで構成されており、第2版をベースにして統計解析の基礎知識をわかりやすく改訂した。本マニュアルを、作業療法の介入効果を検証する臨床研究に活用していただければ幸いである。


 

作業療法マニュアル 69
ハンドセラピー 第2版

 執筆協力者
  岡野 昭夫
  飯塚 照史
  稲垣 慶之
  内屋 純
  大山 峰生
  谷口 しのぶ
  茶木 正樹
  野中 信宏
  古田 裕之
  武藤 光弘
  
 2020年2月28日 発行 A4変形

 

Ⅰ 基本的基礎知識
 1 肘関節・前腕・手関節・手の機能解剖
 2 肘関節・前腕・手関節・手の運動学
Ⅱ 評価
 1 基本的評価
 2 代表疾患別評価
Ⅲ 介入方法
 1 代表疾患別介入方法
 2 その他の介入方法
Ⅳ 事例紹介
 1 両手重度損傷に対して多角的セラピーを行った事例
 2 示・中指切断に対する作業用義指を導入した事例

 初版の作業療法マニュアル「ハンドセラピー」発刊から14年が経ち、この度、リニューアルして「ハンドセラピー 第2版」を発刊した。
 いわゆる急性期病院に勤務する作業療法士であれば、専門的教育を受けていなくても、 手外科疾患の方を担当しなければならない機会がしばしば存在する。手外科疾患は、作業 療法を含めた初期治療が最も重要であり、作業療法士は、経験の有無にかかわらず最低限 の知識をもって対応する必要がある。
 本マニュアルは、基本的知識、評価、介入方法、事例紹介で構成されている。第1章の基本的知識では、ハンドセラピーに必須の基礎知識である手の機能解剖や運動学について記述しており、まずはこれを熟読していただきたい。正常な手の知識を深めることで、実際の臨床で出会う対象者の問題点がわかるようになり、治療戦略が立てやすくなる。第2章は、基本的評価方法と疾患別の評価、続いて第3章では実践的な介入方法について記述している。まずは、基本的評価方法をしっかり理解していただきたい。そのうえで、臨床で多くみられる「骨折」「腱損傷」「末梢神経損傷」「炎症性疾患」の評価と介入方法が記載されているので、実際の臨床で大いに参考にしていただきたい。第4章では事例報告登録制度に沿って事例を掲載した。目の前にいる対象者に対して、問題点は何か、どのように治療を展開していくかといった作業療法士の考え方を身につけてほしい。そして、事例報告を登録して、作業療法の発展に寄与してほしい。
 このマニュアルは、ハンドセラピー初心者の方々の第一歩となるよう、この領域において第一線で活躍している執筆協力者が工夫をして製作をすすめた。ハンドセラピーの対象者に関わる際の大切なポイントがたくさん詰まっているので、ぜひ、このマニュアルを日々の臨床に活用していただきたい。


 

作業療法マニュアル 70
認知症初期集中支援 -作業療法士の役割と視点- 第2版

 執筆協力者
  竹原 敦
  村島 久美子
  岩切 良太
  小河原 格也
  小川 敬之
  上城 憲司
  遠矢 純一郎
  冨永 美紀
  藤田 佳男
  古川 絵美
  松浦 篤子
  松下 太
  三浦 晃
  山口 智晴
  
 2020年8月30日 発行 A4変形

 

Ⅰ 新オレンジプラン・認知症施策推進大綱と認知症初期集中支援チーム
 1 認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)および認知症施策推進大綱の概要
 2 認知症初期集中支援チームの概要
 3 認知症初期集中支援チームにおける作業療法士の役割
Ⅱ 認知症初期集中支援チームの実際
 1 初回訪問までの手続き
 2 初回訪問の流れ
 3 アセスメント
 4 介入の計画と実際
 5 各機関との調整
Ⅲ 認知症初期集中支援の実際例

 わが国の未曾有の認知症の人の増加の中、かつては認知症の人の中核症状と、それに伴う行動・心理症状が顕著になると、家族や親類などは急いで医療機関を受診することを勧め、医師からその後の指示を求めたり、周囲の人からは、認知症の症状がありながら、何となく年のせいと言われ、不十分ながら日々のケアを実施していたように思われる。しかし、このように、認知症の症状が重症化してから対応しようとする「危機回避支援」だけでは、認知症の人と家族の良好な生活維持のためには遅くなるため、未然に危機を防ぐような「早期支援機能」をも整備しようとして創られたのが認知症初期集中支援である。
 本書は、こうした時代的背景のニーズを受け、2015年初版から5年後の2020年、待望の『認知症初期集中支援-作業療法士の役割と視点-第2版』作業療法マニュアル70として、出版の運びとなった。
 本書は認知症初期集中支援チームに貢献している作業療法士によって書かれている。内容は、3部構成で、「1.新オレンジプラン・認知症施策推進大綱と認知症初期支援チーム、」は、認知症施策の歴史的背景と認知症初期集中支援チームの概要及びチームで働く作業療法士の役割について示され、この制度の位置づけと私たち臨床家の役割が明確となる。「2.認知症初期支援チームの実際」は、初回訪問までの手続き、初回訪問の流れ、アセスメント、介入の計画と実際、各機関との調整について示され、実際に認知症初期集中支援チームで勤務する作業療法士がどのようにして、チームの中で、認知症の人と家族及びチームのメンバー関わってゆくのかが丁寧に書かれている。「3.認知症初期集中支援の実践例」は、経験豊富な作業療法士とチームの医師による活き活きした事例が展開されている。
 本書は、現在、認知症初期集中支援チームに貢献している作業療法士だけではなく、これから始めようとしている臨床家、また、この分野の教育や学習をする作業療法士にとっても良書と思われる。本書を手に取っていただいた皆さまにとって、少しでもお役に立つことができれば幸いである。


 

作業療法マニュアル 71
生活支援用具と環境整備Ⅰ -基本動作とセルフケア-

 執筆協力者
  小林 毅
  石丸 敦彦
  岩下 範子
  岩谷 清一
  大竹 雅子
  菊池 隆一郎
  楠原 敦子
  粂田 哲人
  酒井 達也
  清水 友貴子
  曽根川 達司
  西 則彦
  根岸 昌
  野上 雅子
  林 正春
  東 祐二
  房内 望
  松本 琢磨
  水本 雄介
    
 2021年2月28日 発行 A4変形

 

Ⅰ 総論
 1 基本動作・セルフケア・ADL・IADLの理解
 2 評価(アセスメント):生活支援用具適用までのプロセスの理解
Ⅱ 各論
 1 ADL・IADLを遂行するための姿勢保持
 2 移動(起居・移乗・移動を中心に)
 3 入浴
 4 排泄
 5 食事
 6 更衣
 7 整容
Ⅲ 事例
 1 脳血管疾患の事例
 2 脊髄損傷の事例
 3 肢体不自由児,医療的ケアが必要な重症心身障害児の事例
 4 関節リウマチの事例
 5 難病の事例
 6 高齢者(認知症を含む)の事例

 この度,『生活支援用具と環境整備』と題して2巻の作業療法マニュアルを発刊した.今回のマニュアルは,作業療法士が生活支援を行う際に必要となる,用具と住環境整備に関する知識や情報をコンパクトに整理し,すぐに臨床活動に活かすことができる具体的なヒントや事例を多く掲載している.また,福祉用具法に定められている福祉用具,介護保険で扱う福祉用具だけでなはなく,自助具,共用品や一般市販の便利用具,住宅改修等,作業療法士が対象者に用いる用具のすべてを扱い,包括する広義の意味合いとして「生活支援用具」という用語を用いた.これらの用具や住環境整の特性を,豊富な図を用いて具体的に解説するとともに,作業療法介入及び用具の適合,環境整備のプロセスや考え方,また諸制度の利用のための知識や事務書式なども掲載した.
 本マニュアルは2巻で構成されている.第1巻では,ADLIADLの基本的な知識生活支援用具適応までの評価(アセスメント)のプロセス,姿勢保持や移動等の生活支援用具の適合に必要な基本的知識の総論と,入浴,排泄,食事,更衣,整容のADLに焦点を当て,項目ごとに臨床場面で一般的に利用されている生活支援用具を紹介している.事例では,脳血管障害,脊髄損傷,肢体不自由児・重症心身障害児関節リウマチ,難病,高齢者を取り挙げ,ADL作業療法介入の考え方や用具の適応,環境整備について詳しく述べている.
 第2巻では,支給制度についての総論と,IADLや社会参加,住宅改修や自助具等の環境整備に焦点を当て,脳血管障害,脊髄損傷,発達障害(肢体不自由児),関節リウマチ,進行性疾患,高齢者のIADLや社会参加,自助具作製や環境整備の事例紹介,書式集で構成されている.
 まずは,臨床活動のなかですぐに利活用できそうなページをめくり,ヒントを得てほしい.作業療法士のおおきな武器である「環境」への積極的な介入のために,生活支援用具と環境整備の臨床現場の一助として本マニュアルを活用していただければ幸いである.


 

作業療法マニュアル 72
生活支援用具と環境整備Ⅱ -IADL・住宅改修・自助具・社会参加-

 執筆協力者
  小林 毅
  粟沢 広之
  岩下 範子
  岩島 和香奈
  内田 亜紀
  金井 美樹
  菊池 隆一郎
  楠原 敦子
  曽根川 達司
  玉垣 幹子
  林 正春
  福元 正伸
  房内 望
  松本 琢磨
  松元 義彦
  水島 真由美
  水本 雄介
  若林 秀昭
    
 2021年2月28日 発行 A4変形

 

Ⅰ 総論
 1 福祉用具の支給制度
Ⅱ 各論
 1 コミュニケーション
 2 レクリエーション
 3 家事・育児
 4 玩具・教材
 5 移動(外出・下肢装具・自動車運転・その他)
Ⅲ その他の環境因子からの支援
 1 自助具
 2 住宅改修
Ⅳ 事例
 1 脳血管疾患の事例:調理が拡大した左片麻痺の事例
 2 脊髄損傷の事例:完全頸損の自動車運転
 3 発達障害の事例:肢体不自由児に対する学習支援
 4 関節リウマチの事例:自助具作製と住環境整備
 5 進行性疾患(神経筋疾患)の事例:社会参加が継続できたALSの事例
 6 高齢者の事例:IADLの支援からQOLが向上した事例
Ⅴ 書式集 


 

作業療法マニュアル 73
精神科作業療法部門 運用実践マニュアル

 執筆協力者
  赤澤 将文
  朝倉 起己
  宇田 英幸
  遠藤 千冬
  岡野 朋子
  嘉数 栄司
  河内 朋恵
  佐藤 嘉孝
  杉村 直哉
  長谷川 利夫
  水野 高昌
  村井 千賀
  吉田 真依子
    
 2021年8月30日 発行 A4変形

 

Ⅰ 精神科作業療法の実際
 1 精神科作業療法実施の流れと診療報酬のしくみ:概要
   2  精神科作業療法実施における現状と課題:協会調査より
   3  精神科作業療法における検査・評価尺度
   4  精神科作業療法計画
   5  プログラムの考え方と具体例
   6  標準2 時間の運用方法
    7   退院に向けての取り組み
    8   精神科作業療法の記録方法の実際
    9   多職種連携のしくみ:包括的支援マネジメントの紹介
  10   カンファレンスの介入方法とコツ
Ⅱ 時期別,疾患別精神科作業療法の実際
 1 救急入院,急性期治療病棟
 2 身体合併症と精神科リエゾン
 3 地域移行機能強化病棟
 4 精神療養病棟
 5 認知症治療病棟
 6 依存症の作業療法
 7 精神科デイケア等
 8 精神科の訪問型作業療法
Ⅲ 管理運営
 1 部門の管理と運営方法
 2 指導監査等への対応
 3 作業療法士の一日のスケジュール
Ⅳ 新人教育,地域活動,ネットワークづくりについて
 1 職場新人教育の在り方
 2 精神科作業療法活用ガイドの例示
 3 各種勉強会や講習会の活用,ネットワークづくり
 4 障害保健福祉制度の紹介
Ⅴ 参考資料:精神科リハビリテーションにおける個人の尊重と人権について 

 

 2017年、精神医療保健福祉において「精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築」という新たな理念が示された。しかし、2018年度に協会が実施した調査から見えてきたことは、新しい理念と精神科作業療法の現状との少なからぬ乖離だった。この問題認識から生まれたのが作業療法マニュアルの最新刊『精神科作業療法部門 運用実践マニュアル』である。
 ”運用実践マニュアル”と聞いて、いったいどんな内容を想像されるだろうか。ここに書かれていることは、特定の理論でも際立った治療技法でもない。精神科作業療法とその周辺の日常的な臨床業務のなかで、誰もが当たり前に経験するであろう事象に対して、いかなる考え方を基に、実際どのような対応をとっていけば良いのか、その好事例集ともいうべき内容となっている。一例を挙げれば、精神科作業療法の実施時間について、これまでの慣例に捉われず、対象者に応じて2時間をより柔軟に組み立てていくようなプログラムの運用例が紹介されており、”目から鱗”の読者も多いに違いない。
 Ⅰ章では、精神科作業療法の開始から地域生活までの経過に沿うかたちで、評価や計画、プログラム立案・運用のポイントを概説している。記録方法や連携・カンファレンスといった臨床業務に焦点を当てていることも特徴的である。Ⅱ章では、疾患や診療報酬ごとの取り組みを紹介しており、各々の実践とも照らし合わせやすいだろう。Ⅲ章は、部門管理や監査対応などの管理運営面が中心テーマで、Ⅳ章は、教育、地域活動、ネットワーク構築など専門職としてのあり方を示している。最後のⅤ章では、医療倫理の4原則に立ち返り、改めて人権や自己決定の重さを思い起こさせる。
 本マニュアルは、対象者が望む生活に対して精神科の作業療法が貢献していくための直接的・間接的に大切な要素が散りばめられており、新人には新人なりの、管理職には管理職なりの活用の幅が拡がっている。これをきっかけに精神科の作業療法についてさらに発展的な議論が起きることにも期待したい。


 

作業療法マニュアル 74
身体障害の作業療法 実践マニュアル -早期離床を中心に-

 執筆協力者
  淺井 康紀
  太田 有美
  喜納 俊介
  児島 範明
  兒玉 賢剛
  塩田 繁人
  菅原 和子
  塚原 千恵
  寺村 健三
  楢島 恵美
  藤岡 晃
  三村 祐太
    
 2022年2月28日 発行 A4変形

 

Ⅰ 早期(集中治療期)とは
 1 総論
   2  集中治療室とは
   3  ICUの特徴
   4  多職種連携および他職種から求められること、早期離床のエビデンスについて
Ⅱ 作業療法の実践:ICUでの作業療法
 1 リスクの管理
 2 評価
 3 その他の配慮(感染管理、環境調整、他職種との情報共有)
 4 ICU退出後の流れ
 5 作業療法の一般的な留意事項
 6 予後予測と作業療法の実践
Ⅲ 作業療法の展開:具体的な取り組み
 1 ICUでの取り組み方
 2 意識障害
 3 呼吸器障害
 4 循環器障害:急性心不全
 5 安静度によるかかわり(Head-Up、端座位、立位)
 6 脳卒中
 7 多発外傷
 8 頚髄損傷
 9 重度熱傷
 10 肝移植
Ⅳ 事例
 1 脳出血急性期後の早期作業療法
 2 急性増悪した心不全の作業療法
 3 ギラン-バレー症候群の作業療法
Ⅴ 参考資料
 1 さまざまな施設のプロトコルの例示
 2 作業療法の実践例の参考文献
 3 ICUの施設基準、早期離床加算の要件など 

 

 わが国では、医療保険を含めて持続可能な社会保障制度にするために制度改革が進められています。そのなかで、医療機関では平均在院日数の短縮を指標として早期退院が促され、多くの職種が集中的に関わる早期治療が実施されています。2018年の診療報酬改定では「早期離床・リハビリテーション加算」が評価されました。算定要件は「特定集中治療室(ICU)入室後早期から離床に向けた取組が行われた場合」に算定できると記されています。私たち作業療法士にとっては、単に「離床≒座位獲得・立位保持」といった姿勢の維持・調節のための運動・動作の獲得ではなく、患者本人と家族が望む「日常の生活行為」の獲得が目標となります。ICUは、生命の危機にある重症患者に対し、24時間を通じた濃密な治療や観察を行う空間であり、作業療法士が目的とする生活行為に焦点をあてた関わりが実施しにくい場です。しかし、そのなかでも作業療法士は、当然必要となる関節可動域練習などの心身機能の改善の手技だけではなく、発症または受傷の早期から生活行為の予後を見据えた関わりを提供することが求められています。また、本マニュアルではICUで遭遇することが多い疾患(呼吸器障害、循環器障害、脳卒中、多発外傷、脊髄損傷、広範囲熱傷、移植後)や意識障害のある人への対応や安静度に応じた関わりができるように、具体的に例えば、食事・排泄といったADLの自立に向けた練習、ADLができる環境と意思伝達のための整備、せん妄予防のためのさまざまな工夫等を示しました。こうした活動と参加につなげるための作業療法の考え方を解説し、経験の少ない作業療法士がICUで作業療法を実践できる内容となるように編集しました。
 なお、本マニュアルでは、対象者の表記を医療(病院等)のICUで行う作業療法を前提に「患者」という用語を用い、「早期」を疾患の新規発症、手術または急性増悪から2〜3週間と定義し、ICU退出後につながる関わりも紹介しています。ぜひ、座右におき、手にとって参考にしていただければ幸いです。


 

作業療法マニュアル 75
生活行為向上マネジメント 改訂第4版

学術部学術委員会生活行為向上マネジメント班
 竹内 さをり
 塩田 繁人
 柴田 八衣子
 石川 隆志
 田村 大

執筆協力者
 小林 正義
 小林 隆司
 東 登志夫
 谷川 真澄
 村井 千賀
    
 2022年3月25日 発行 A4変形

 

Ⅰ 生活行為向上マネジメントの概要
 1 生活行為向上マネジメントの背景
   2  生活行為向上マネジメントの位置づけ
   3  生活行為向上マネジメントの用語整理
   4  作業療法概念の変遷と生活行為の定義
Ⅱ 生活行為向上マネジメントの考え方
 1 生活行為の考え方
 2 生活行為の障害の理解
 3 人のもてる能力を引き出す作業療法
 4 生活行為向上マネジメントとは
Ⅲ 生活行為向上マネジメントの解説
 1 生活行為向上マネジメントのプロセスにそった各シートの考え方,記入方法
 2 生活行為向上マネジメントシートの記入方法
 3 実践事例紹介
 4 各領域における生活行為向上マネジメント活用方法
Ⅳ 評価指標について
 1 評価の重要性
 2 生活行為向上マネジメントで用いられる評価指標
Ⅴ 事例
 1 回復期の事例:家事動作の再獲得を目標にすることで役割の再獲得が可能となった例
 2 急性期の事例:「大工に戻りたい」と希望する気管切開・人工呼吸器管理となった頸髄損傷(C6)男性に対する急性期作業療法
 3 精神科の事例:就労を希望する妄想性障害の男性に対する外来作業療法
資料 

 

 生活行為向上マネジメント(MTDLP)のマニュアルは、2014年に第1版が発刊され、それ以降もほぼ2年ごとに改訂しています。今回の改訂は2018年に改訂第3版を発刊してから約4年ぶりとなります。
 改訂第4版は、これまでの内容を整理し、作業療法ガイドライン2018年度版で示されている、作業療法の流れに基づいた、作業療法計画を作成し実践するためのマニュアルとすることを念頭におきました。また、初学者でもMTDLPのツール(シート)を使えば、ICFの考え方を活用して、活動と参加を促す作業療法を実施できるようなマニュアルとしました。
 第Ⅰ章は「生活行為向上マネジメントの概要」として、MTDLPが生まれた背景やMTDLPの位置づけ、作業療法概念の変遷と生活行為の定義等について整理し、第Ⅱ章は「生活行為向上マネジメントの考え方」として、これまでの内容を整理し、更にMTDLPで大切にしていることやICFの活用等について追記しています。第Ⅲ章「生活行為向上マネジメントの解説」では、MTDLPのプロセスにそって、ツールである各種シートの使い方と記入方法を解説しています。特にアセスメント(課題分析)の工程は詳しく述べております。関連して、生活行為向上マネジメントシートの生活行為アセスメントの予後予測は、これまで「心身機能・構造の分析」「活動と参加の分析」「環境因子の分析」に分けて記述する形式であったものを、一つにしてまとめて記述する形式に変更しています。作業療法士が考える生活行為の予後予測を分かりやすく示すためです。
 ぜひ多くの方がマニュアルを手に取ってMTDLPの実践を行い、その数が増えていけば、作業療法士が活動と参加の向上を促す専門職であることを大いに示すことになると考えています。MTDLPは「人は作業を行うことで健康になれる」という結果を導きだす作業療法のガイドです。マニュアルを活用して、人々の健康的な生活への改善とその継続、拡大に貢献していただけることを望みます。国民にとって、必要不可欠な職種となるように。


 

作業療法マニュアル 76
呼吸器疾患の作業療法 改訂第2版

執筆協力者
 岡島 聡
 川邊 利子
 熊野 宏治
 後藤 葉子
 下西 德
 鈴木 真弓
 坪井 理佳
 村上 知征
    
 2022年3月31日 発行 A4変形

 

Ⅰ 基本的知識
 1 呼吸器疾患と作業療法
   2  肺の解剖および機能解剖について
   3  呼吸器疾患を診るために必要なこと
   4  知っておきたい呼吸器疾患の知識
Ⅱ 評価
 1 呼吸器疾患に対する一般情報収集
 2 作業療法評価
 3 病態の把握,解釈の仕方
Ⅲ 呼吸器疾患に対する介入
 1 セルフマネジメント教育
 2 ADLトレーニング
 3 ADL・IADLの評価と介入方法
 4 運動と全身の調整
 5 リスク管理
 6 栄養療法
 7 呼吸器疾患の地域支援
Ⅳ 事例紹介
 1 慢性閉塞性肺疾患(COPD)の事例
 2 肺非結核性抗酸菌(NTM)症の事例
 3 間質性肺疾患(ILD)の事例
 4 ハイフローセラピー中の作業療法
 5 終末期の作業療法

 

 2011年に初版が発刊されて以降、医療や社会の情勢は大きく変容し、呼吸器疾患等の内部障害者は今後も増加が予想されます。呼吸リハビリテーションの対象疾患は、COPD 、間質性肺疾患、誤嚥性肺炎や周術期・術後回復期の患者、最近では新型コロナウイルス感染症(COVID-19)など多岐にわたり、急性期から生活期まで幅広い期間で関わります。
 日本呼吸器学会によるアンケート調査によれば、対象者からは療養生活で息切れを軽くする日常生活動作の工夫を教えてほしいという要望が最も多く、また呼吸リハビリテーションのなかでは、ADLの評価やトレーニングに作業療法士が参加することが望ましいとされています。そして、最も理想的な呼吸リハビリテーションプログラムは、多職種の専門家チームによる包括的プログラムといわれており、この領域における作業療法士の活躍が大いに期待されるところです。 
 本マニュアルでは、第1章で肺の解剖・生理、呼吸器疾患に関する基礎知識、呼吸器疾患に対する作業療法の意義について、第2章で評価方法を具体的に示し、第3章では具体的な介入について、ADL・IADL支援、リスク管理、栄養療法、在宅生活に向けた地域支援の項目に分けて解説し、第4章ではCOPD、肺非結核性抗酸菌症、肺線維症などの間質性肺疾患、ハイフローセラピー中の作業療法、終末期、在宅と、多様な事例を紹介しています。このように呼吸器疾患の作業療法について、基礎知識から評価、介入、事例提示を一冊に網羅しています。さらに、絵や写真なども多く載せ、よりわかりやすくなっております。
 執筆者の皆さまには、若い作業療法士や呼吸器疾患に慣れていない作業療法士のために、重要なポイントを押さえた、日々の臨床に役立つマニュアルにしたいという熱い想いを抱いて作成にあたっていただきました。このマニュアルは 臨床の一助となること間違いなしです。
 ぜひ、1冊、お手元におかれることをおすすめします。


 

作業療法マニュアル 77
通所リハビリテーションの作業療法

執筆協力者
 磯 直樹
 大内 義隆
 仮谷 妃呂子
 北原 ゆみ
 栗田 洋平
 土井 勝幸
 都甲 幹太
 西 聡太
 二木 理恵
 松澤 良平
 三浦 晃
 三上 直剛
 宮内 順子
 村井 千賀
 山本 泰雄
    
 2023年1月31日 発行 A4変形

 

Ⅰ 通所リハビリテーションで作業療法を実践するうえで知っておきたい知識
 1 介護保険における通所リハビリテーションの位置づけ
   2 通所リハビリテーションでの作業療法士の役割
Ⅱ リハビリテーションマネジメントの考え方
 1 リハビリテーションマネジメントの考え方
 2 Survey(調査)
 3 Plan(計画)
 4 Do(実施)
 
5 Check(評価)
 6 Action(改善) 
Ⅲ 通所リハビリテーションにおける作業療法の進め方
 1 通所リハビリテーションにおける作業療法の進め方
 2 生活行為向上に向けたかかわり方
 3 認知症をもつ人へのかかわり方
 4 社会参加に向けたかかわり方
Ⅳ 通所リハビリテーションでの作業療法の実際:事例紹介
 1 回復期リハビリテーション病棟から移行した事例: 入院中より実施したサービス提供事業所間の連携
 2 介護老人保健施設短期入所療養介護と連携した事例:ショートステイとの連携
 3 認知症短期集中リハビリテーション加算Ⅱを算定した事例: 柔軟で多様な形態の支援が効果的だった事例
 4 生活行為向上リハビリテーション実施加算算定事例: 自宅での独居生活が再開できた事例
 5 生活機能向上連携加算の算定につながった事例: 買い物の再開に向けたヘルパーとの連携
 6 地域サロンへの参加支援が移行支援加算の算定につながった事例

 

 通所リハビリテーションは、2000(平成12)年の介護保険制度施行以降、在宅ケアの中心的な役割を担っており、その「あり方」についてはさまざまな視点から検討を重ねられている。2015(平成27) 年に発行された「高齢者の地域における新たなリハビリテーションの在り方検討会報告書」では、通所リハビリテーションを含めた、高齢者の地域におけるリハビリテーションについて 「個別性を重視した適時・適切なリハビリテーションの実施」、「身体機能に偏ったリハビリテーションの見直し」、「高齢者の気概や意欲を引き出す取組」などの課題が打ち出された。そして、これらの課題解決に向けてリハビリテーションマネジメントが見直され、「活動」「参加」に向けた加算が新設された。こうした流れから、活動や参加に焦点を当てた関わりができる作業療法士の視点、すなわち、心身機能の回復にとどまらず、生活行為がうまくできるように練習方法や環境調整、工夫などを検討する視点が通所リハビリテーションには求められている。むろん、加算を算定するために作業療法を実施するわけではないが、それぞれの加算の意義を理解し、有効な作業療法の実践が各種加算に繋がるという流れを思い描くことが重要である。
 本マニュアルの前半では、介護保険における通所リハビリテーションの位置付けや作業療法士の役割について整理し、リハビリテーションマネジメントの考え方を解説している。後半は、作業療法の基盤となる「生活行為向上に向けた関わり方」「認知症をもつ人への関わり方」「社会参加に向けた関わり方」について解説したうえで、有効な作業療法の実践が各種加算に繋がった事例を紹介した。
 本マニュアルは、通所リハビリテーションに従事する作業療法士、特に卒業して間もない若い作業療法士や通所リハビリテーションで初めて働く作業療法士に手に取ってもらえるよう作成している。また、ながく通所リハビリテーションでの作業療法に取り組みながらも、目標に至らない等の課題を解決する糸口として、悩みやジレンマを抱える支援の一助としても広く活用いただきたい。


 

作業療法マニュアル 78
子どもの通所支援における作業療法

執筆協力者
 岡田 拓巳
 鍛治 奈保子
 加藤 裕美
 嘉門 邦岳
 岸 良至
 久保 友明
 酒井 康年
 田坂 翔太
 田中 千尋
 中頭 賢志郎
 中川 珠世
 畠山 久司
 松尾 直樹
    
 2023年3月31日 発行 A4変形

 

Ⅰ 作業療法士がおさえておきたい障害児通所支援の基本
 1 障害児通所支援の制度の概要
 2 障害児通所支援の意義
 3 家族に対する支援
 4 地域支援
 5 チームアプローチ論
Ⅱ 障害児通所支援で活かせる作業療法士の視点
 1 活動・参加を支える
 2 個と環境と作業の相互作用をとらえる
 3 発達をとらえる
 4 子どもの特性をとらえる
 
5 活動分析,作業分析
Ⅲ 作業療法士による支援
 1 地域での生活を支える事例:作業療法士として地域での生活を支えるー個別と集団,訪問での支援
 2 子どもの育ちを支える事例:子どもの特性を理解してかかわることで,家族・友だちとのコミュニケーションが拡大した事例
 3 家族を支える事例A:「この子ならできそうだ」家族の思いを支えるー再登校するまでのプロセス
 4 家族を支える事例B:家族と一緒に挑戦ーさまざまなことを経験したことで活動が広がった事例
 5 チームで支える事例:些細なできることを広げていった事例ーチーム支援の心構えをふまえて
 6 地域システムへの関与A:1人の子どもから広がる地域支援ネットワーク
 7 地域システムへの関与B:開設まもない事業所の地域支援への関わり

 

 2012(平成24)年度より,障害児通所支援(児童発達支援,医療型児童発達支援、放課後等デイサービス,保育所等訪問支援、のちに居宅訪問型児童発達支援も加わる)が開始されました。その後、障害児通所支援を提供する事業所は年々増加しており、障害児通所支援に従事する作業療法士も増えております。
 従来の子どもへの作業療法は、小児専門病院や療育センターなど医療機関での実施が中心でした。これに加えて障害児通所支援が開始されたことで、作業療法士による子どもへの支援を提供する場が増えています。しかし、戸惑っている作業療法士も多数おられるのかもしれません。養成校を卒業すると同時に障害児通所支援の事業所で働きはじめたものの、作業療法士が事業所の中では自分一人のため、相談できる相手がいない、といったことをよく聞きます。また医療機関では、作業療法士による子どもと家族の支援は個別支援というかたちをとりやすいですが、障害児通所支援では作業療法士もチームの一員となり、多職種連携をしながら子どもと家族へ支援を行うので、「作業療法士と他職種との専門性の違いが分からない」といった声や「作業療法士としての専門性を発揮しにくい」などの悩みを聞くことも増えました。今後、障害児通所支援における作業療法士の支援の質を高め、さらに社会に対して作業療法士の役割を明確にしていくことが、より一層必要になっていくと思われます。
 本マニュアルでは、第Ⅰ章でチームの一員として働く作業療法士としておさえておきたい障害児通所支援の基本的な概念を示しています。第Ⅱ章では、勤務している地域や事業所の特徴を踏まえながら、障害児通所支援で活かせる作業療法の視点を示します。第Ⅲ章は、様々な事業所で取り組んだ多様なテーマの事例を紹介していますので、作業療法士の実践と役割の理解を深めてほしいと考えています。本マニュアルを活用することで、障害児通所支援において活躍する作業療法士が増え、活動と参加を支援する職種として作業療法士の必要性がより高まることを期待しています。


 

作業療法マニュアル 79

精神科作業療法計画の立て方
 ICF に基づくアセスメントと対象者が望む生活の実現

執筆協力者
 遠藤 千冬
 岡庭 隆門
 河埜 康二郎
 佐久間 啓
 塩田 繁人
 福田 正人
 船津 琴美
 村井 千賀
 横井 安芸
 渡邉 忠義

 2023年3月31日 発行 A4変形

 

特別寄稿
 1 精神科作業療法に期待する未来
 2 精神科作業療法に期待すること
Ⅰ 精神保健福祉医療の動向と課題
 1 これまでの精神医療と日本作業療法士協会の取り組み
 2 精神科作業療法の現状
 3 精神障害者にも対応した地域包括ケアシステム
 4 地域包括ケアシステムに対応した取り組みを推進するために:精神科包括的支援マネジメントの紹介
Ⅱ 精神科作業療法計画
 1 これからの精神科作業療法の提案
 2 ICF と精神科コアセットの紹介
 3 対象者の望む暮らし・生活を把握する
 4 ICF コードを活用した対象者が望む精神科作業療法計画
 
5 ICF に基づく精神科作業療法の取り組みの整理
Ⅲ 精神科作業療法計画を用いた事例
 1 精神科作業療法(入院)の事例:入院から地域生活に移行した統合失調症の事例
 2 就労支援事業所での事例:事業所と精神科医療機関との連携による雇用への展開
 3 精神科デイケアでの事例:対象者の希望である就労につながった事例

 

 2021年に精神科作業療法関連のマニュアルとして「精神科作業療法部門運用実践マニュアル」(No.73)が発刊されました。そこでは精神科作業療法の実践の流れを明確に示すことにより、臨床現場で働く作業療法士はもとより、協業・連携する多職種からも好評をもって迎えられました。
 そして今回のマニュアルは、作業療法における臨床推論のコアともいうべき「精神科作業療法計画」の部分に焦点を当てています。専門職の臨床推論は時として内向きの言語に傾きがちになりますが、それを本マニュアルでは世界共通フォーマットであるICFの枠組みから整理・統合していく方法を提案しています。何度も強調されているのは“本人の望む暮らし”というキーワードです。地域包括ケアシステムにおいて、作業療法はその人の生活(暮らし)と希望を包括的に捉え、その実現に向けた支援計画を積極的に発信していかねばならないというメッセージでもあります。
 第Ⅰ章では、本マニュアル発刊の目的にもつながる、これまでの日本作業療法士協会の取り組みを俯瞰し、改めて精神医療の流れの中で精神科作業療法の立ち位置と課題を想起させる内容となっています。多職種による専門的なアセスメントと支援計画を基本とする現代の包括的支援マネジメントにおいて、精神科作業療法計画を活用していくことは,“本人の望む暮らし”を際立たせることにつながり、作業療法の強みを活かせる有効な手段です。
 第Ⅱ章では、実際の方法論として、前述のICFの枠組みを詳細に概説しています。特に精神疾患に対応するICFコアセットが紹介されている意義は大きく、これを効率的に活用できるようになれば、ICFは臨床実践により近づき、作業療法のエビデンス構築にも寄与することになるでしょう。そして何より、基本的能力、応用的能力、社会的適応能力という視点から対象者の生活機能を捉え、制度や社会資源の利用など、対象者の個人特性に応じた治療および援助を行っている作業療法の視点を、多職種にもわかりやすく伝える強力なツールとなるでしょう。
 第Ⅲ章は、事例集となっています。それぞれの事例に対して、支援計画がどのように作成され、それが支援の場でどのように活かされていたか、これを詳細に読み込んでそのノウハウを追体験していただきたい。
 求められるのは“実践”に踏み出すことです。本マニュアルがその一助になれば幸いです。


 

作業療法マニュアル 80

うつ病を抱える人への作業療法

執筆協力者
 生田 真衣
 織田 靖史
 金子 隆生
 岸  雪枝
 沓名 一朗
 公家 龍之介
 河埜 康二郎
 小砂 哲太郎
 後藤 有沙
 杉村 直哉
 武井 勇樹
 田中 佐千恵
 照井 林陽
 早坂 友成
 曳田 憲昭
 星野 藍子
 猿爪 優輝
 水野 健

 2024年7月31日 発行 A4変形

 

Ⅰ うつ病の基礎知識
 1 診断,疾患分類について
 2 うつ病の病態生理
 3 うつ病の治療について
 4 うつ病の社会文化的背景
 column うつ病と双極症
 column 神経発達症群(発達障害)とうつ病
 column 脳卒中後うつ・アパシー
Ⅱ うつ病に対する作業療法
 1 作業療法の流れ,作業療法の目的
 2 作業療法の評価と留意点
 3 作業療法の介入と留意点
 4 作業療法で用いられやすい周辺の治療法
 
column 「作業」という観点から考えるうつ病
Ⅲ 作業療法の実際
 1 入院作業療法
  ― 不安焦燥感を抱きながらも徐々に自発性が拡大し,退院につながった事例
 2 外来作業療法
  ― 薬物療法によりうつ症状は軽減したが,活動性の低下や認知の偏りから社会復帰に段階的な支援が必要であった事例
 3 治療抵抗性うつ病
  ― 修正型電気けいれん療法後の精神症状の改善と作業遂行の乖離に着目し段階的な動機づけを行うことで行動が促進された事例
 4 精神科デイケアにおける就労支援
  ― 精神科デイケアの就労準備プログラムにより自己理解が深まり,就労につながった事例
 5 精神科訪問看護における地域生活支援
  ― 過去のトラウマにより対人関係構築が困難だったが,思いを打ち明けられる対話を続けたことで希望に沿う生活環境調整が可能となった事例
 6 リワークプログラムにおける職場復帰支援
  ― リワークプログラムで自己理解を深め復職後の就労継続に至った事例
 7 身体疾患を合併するうつ病
  ― 身体症状増悪に伴いうつ症状が出現し,自殺企図に至ったが,回復段階に合わせた介入により 活動的な生活を取り戻した事例
 8 双極症との鑑別 
  ― 作業療法での観察・評価により双極症の可能性を発見し,生活記録表を用いたセルフモニタリングを促すことで就労定着に至った事例
 9 適応反応症との鑑別
  ― 適応反応症のある事例に対する作業療法介入
 10 アルコール依存症との鑑別
  ― アルコール依存症にうつ病を併存した事例への健康的な習慣の獲得に向けた作業療法介入
 11 神経発達症(発達障害)との鑑別
  ― ASD が背景にあったため就労が継続しなかった事例への支援
資料集 ― 参考ツールの紹介
 1 ガイドライン等
 2 各種評価尺度の入手方法
 3 各種参考サイト等の紹介

 本巻の前身である作業療法マニュアル54『うつ病患者に対する作業療法』(廃刊)から10年が経過し,その間にも,私たちは多様化・複雑化しているといわれる「うつ病」についてたくさんの新しい知見を得続けています。うつ病の作業療法も日進月歩を続けており,これまでにない視点や工夫が求められるようになっていることでしょう。
 この新しいマニュアルの第Ⅰ章では,操作的診断基準や病態生理,ガイドラインに準拠した治療について概説し,労働者の健康問題にも焦点を当て,うつ病という疾患の“現在”を正しく捉えやすいよう心掛けました。
 第Ⅱ章では,うつ病の作業療法の流れや目的,標準的な介入についての指針を示しました。「対象者の大切な作業を支援する」という作業療法の独自性や特殊性がどのようなプロセスで展開されていくのか,ICFの視点や病期ごとの評価のポイントを織り交ぜながら丁寧に解説しています。
 第Ⅲ章は事例集です。作業療法士が実際に臨床で遭遇する対象者は,いわゆる従来型のうつにとどまらず,複雑な背景や併存疾患をもっていたり,重複する症状への対応や他の精神疾患との鑑別が必要となる場合が少なくありません。ここに取り上げられた多彩な11事例を精読し,自身の臨床に還元できるヒントを得ていただきたいと願っています。
 第Ⅳ章では,各種ガイドラインの紹介をはじめ,参考となる情報やツールの入手方法,検索方法を示しています。臨床での活用をイメージしながら,それぞれ原本(原ソース),関連する論文などにも当たってみてください。
 うつ病治療とうつ病の作業療法はこれからも変化していくと思いますが,うつ病を抱える人の「大切な作業」を支援するという本流が変わることはないでしょう。一人ひとりの作業療法士の確かな実践が求められています。本マニュアルがその一助になれば幸いです。