オペラ18号
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(これは、2013年8月14日に行った対談を編集部でまとめたものです)対談をおえて――中村春基(笑)。僕なんか、志の輔さんの落語と思うけど、間違ってはいけないのは、お客さんは何にお金を払うのか、ということです。落語だろうが芝居だろうが、映像じゃないライブに求めるのは、舞台のエネルギーだと思うんです。「よくわからないけど元気出た」。治療ですよ(笑)。役者や演者のエネルギーをもらって、そこにお金を払っているんだと思うんです。僕は、それを、立川志の輔さんのそばにいて体感したんです。その前は中村勘三郎さん、もっと前は勝新太郎さんのそばにいましたが、この3人に共通するのはエネルギーです。エネルギーのカタマリがそこにいて、お金を払いたくなっちゃうんですを舞台の脇で聴いていて、いつもエネルギーがこっちに来て、なんかとにかく元気になります。志の輔さんの落語が落語だとしたら、ほかの人のは落語じゃない。でも、ほかが落語だとすると、志の輔さんのは落語じゃなくてエンターテイメントってぐらいで、大きな違いを感じます。僕は、エネルギーを出すからお客 さんからお金がいただけるという人たちに惚れてしまうんです。好きになってしょうがないんです。●私たちの協会のキャッチフレーズは、「ひとは作業をすることで元気になる」ですが、「ひとは作業療法士に出会うと元気になる」「患者さんに作業療法士のエネルギーを」というところまでならなくてはいけないですね。5 JAPANESE ASSOCIATION OF OCCUPATIONAL THERAPISTS何よりもまず、楽しい対談であった。まったくジャンルの違う、身近でない、三味線という楽器、松永鉄九郎という演奏家。多少の不安の中、対談は始まった。鉄九郎さんは20歳でこの世界に入ったそうで、歌舞伎と同じ世襲制の中に飛びこみ、苦労もされたのであろう。だが、そんなことにはまったく触れずに、この世界で活かされている、と話されていた。きっと、人には言えない、それなりの苦労もあったのだろうと想像しながら、対談は一気に盛り上がっていった。話題、言葉遣い、抑揚、間……、「役者やなー」、「色気があるなー」と思った。さて、鉄九郎さんはお弟子さんを抱えておられ、お弟子さんを一人前にする「コツ」がテーマとなった。大切なことは、目標、楽しさ、できるという感覚、褒める、お弟子さんに合わせた指導……。やる気については、自分から鉄九郎さんに習いに来ている方々ばかりで、問題はない。名取りになったら、一人前になるように徹底的に指導する。これらの話は、患者さんとの接し方に共通していると思った。できることを経験していただき、自信をつけて次の課題に取り組む。そっくりである。同じようにお金を払ってサービスを受ける患者さんは、担当(師匠)を選ぶことができない。しかし、実力のない作業療法士に当たったら、「担当を変えてくれ」と素直に思うよなー。鉄九郎さんは、人柄を含めて三味線の実力を皆に見せて、お弟子さんがついている。作業療法士は、自分がどれほどの実力があるのか見せているのであろうか。作業療法士個人を目当てに患者さんが入院し、患者さんが担当を決める。そんな、普通の権利が保障されていない「医療」は、いくら利用者中心と言っても根底から間違っているのではないか、と考えさせられた。全体を通して、プロフェショナルとは何か、改めて考えさせられた、楽しい対談であった。機会があったら、ぜひ生の演奏を聴きに行きたい。
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