Opera19号
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うちのひとつに、水問題があります。「水戦争の時代」ともいわれますが、日本は水に対して不安がありません。各家庭に必ず水道があります。「国民皆水道」といいますが、そういう国はそんなにありません。国が大きいということもありますが、アメリカでもフロリダあたりでは、水道管を長い距離つないでいくと無駄が出るので、近くで水源を探して、極端な場合は湖から水を汲んできて消毒して飲むというようなレベルが多いのです。明日飲む水がないストレスを抱えているのは、世界で40億人いるそうです。日本の水道は、トリハロメタンの薬害がありますが、明日飲む水がないというストレスはありません。それに、日本の水はうまい具合に循環しています。毎年、梅雨になるとたくさんの水が供給されます。秋は台風がやってきて、やはり水が供給されます。日本には川が35000本あるといわれていますが、これらはみな循環している川です。海に流れ込んで、海で蒸発して雲になって山に当たって、また水源になります。日本は7割が森林ですから、山国 でもあるわけです。まわりは海に囲まれているので、海国で山国で川国です。この3つの自然が一体化した国は、世界でもまれです。水にストレスがない国は、日本、アイスランド、ノルウェー、インドネシア、カナダ、ブラジルぐらいです。した。奥アマゾンの奥の町からさらに舟で3日行ったところにあるネイティブの人の家にしばらく居候しました。筏の上に暮らしています。水はまったくストレスがないのです。場所によっては、少し置いておかないと飲めないような細かい砂が混じっていますが、かれらはタフですからそれを飲んでいます。を捕ってくるしかありません。最初の日は猿の肉とじゃが芋を煮た「猿じゃが」でした。それしかないのでぼくも食べるしかないです。翌日は大きな鯰で、蛇も出ました。猟がうまければ、これらはただで手に入ります。しかし、食べられないこともあります。川が荒れて、生物が見つからない時です。だから、食っていくのはカツカツです。いかの少年に「大人になったら何になりたい」と聞いたら、「学校の先生になりたい」といいます。「それはいいね」といったのですが、百%近く無理です。そういう生活をしていると、現金収入がないからです。学校は舟で3日かかる町まで行かなブラジルのアマゾン川にも行きま食べるものは、そこらにあるものそこにいた中学生になるかならないとないのですが、そこに行ったとしても、その家はお金を仕送りできませんから、自分で働かなければなりません。それでは学校に行く時間がなくなってしまいます。その少年は、学校にさえ行けないのですから、どんなに頑張っても先生にはなれないのです。そうすると、「日本の不登校っていったい何なのだろう」と考えてしまいます。学校に行きたくても学校がないという人が世界にはいっぱいいます。「引きこもり」なんて言葉も、奇妙な言葉です。その家は、家族28人が一つの小屋に住んでいます。ハンモックで寝ますが、個人の小さなスペースはないのです。便所さえないのです。そうすると、どこに引きこもれるかとなります。その2つを比べただけでも、日本はいかに異常な贅沢、「贅沢的不満」に満ちた国であるかということになります。また、日本にはちょっとした公園には必ず公衆便所があります。3 JAPANESE ASSOCIATION OF OCCUPATIONAL THERAPISTSその便所は水洗で、あっという間に綺麗に流してしまいます。ドアはきちんとついていて、鍵もかかる。壊れると誰かがすぐに直してくれる。使われていないトイレットペーパーが積まれている。こんなのは夢の世界です。もしインドにそんな便所があったら、群衆が千人ぐらい押しかけて占領し合いになります。殺し合いになるかもし日本作業療法士協会会長中村春基 Haruki Nakamura
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