食べること、おふろに入ること、トイレに行くこと、着がえること。
毎日の仕事やしゅみの活動、家での料理や洗たく。
何気なく行っていることが、病気やけがなどでむずかしくなったとき、
生活の動作一つひとつの大切さに多くの人が気づきます。
かんたんに見える動作も、実はこころとからだの
いろんな働きが組み合わさってできていたこと、
あたりまえのように思っていた毎日の暮らしやまわりの人との
いつもの関わりに、生きているよろこびがあったことに。
でも、何もあきらめることはありません。作業療法は、自分らしさを
取り戻すための、こころとからだのリハビリテーション。
では、もう少しくわしく紹介しましょう。
病気やけが、もしくは生まれながらに障害がある人など、年齢に関係なく、
日常生活に手助けを必要とするすべての人が作業療法の対象となる人です。
人生のあらゆるステージで、「作業」を通じて、人と社会のつながりをつくります。
病気やけがなどによって、
食べたり、おふろに入ったり、仕事をしたり、遊んだり、買物をしたり、
料理をすることなどがむずかしくなっている人を対象に、
こころとからだの働きを回復すること、
悪くならないようにいまの状態を保つことの手段として「作業」を行う。
それが作業療法です。どんなことができるようになりたいか、
できる必要があるかは一人ひとりちがいます。
その人が、その人らしく、生活できることを目指して、
一人ひとりに寄りそって作業療法のプログラムは作られます。
作業療法の始まり
古代中国やギリシャ・ローマの時代から、
人は運動や遊びや仕事といった作業をすることで
こころとからだが元気になることを知っていました。
18世紀になって、
フランスのお医者さんがこころの病気を治すために
作業を用いたのが作業療法の始まりです。
この動きはヨーロッパに広がり、その時期にこころの病気を
治すことを学んでいた一人の日本人のお医者さんが、
日本でも作業療法をはじめました。
すご~く、長~い歴史があるんだね。
病院や地域、職場で、その人のこころの状態に合わせて、リハビリテーションを行っていきます。
たとえば学校には、学習や生活がうまくいかず困っている子どもたちと、
どう手助けを、すべきか悩んでいる先生がいます。
仕事の場では、働く意欲のある障害者と、雇いたい企業の人が、どうすればお互いに
協力してよい仕事ができるか悩んでいます。
そこに活きるのが作業療法士の視点です。さまざまな場所で環境や周囲の人にも
働きかけながら、その人と社会とのつながりをつくり出します。
作業療法士は、日本以外の国にも多くいます。
日本の作業療法士は、海外にも活やくの場をひろげていて、
国際的に活やくする作業療法士が増えています。
すでにいろいろな仕事で人間の代わりに働いているコンピュータやロボット。
ロボットが活やくする未来になっても
コンピュータやロボットに変わることができない仕事のランキングに
作業療法士という仕事は、第6位に選ばれました。
出典:THE FUTURE OF EMPLOYMENT: HOW SUSCEPTIBLE ARE JOBS TO COMPUTERISATION?:
Carl Benedikt Frey†and Michael A. Osborne,2013