第59回日本作業療法学会に向けて
第59回日本作業療法学会に向けて
第58回目の日本作業療法学会は、第50回の札幌学会から数えて8年ぶりの同地での開催となりました。ただ、前回は9月開催であったたため、今回はまさに札幌らしい季節を感じた学会でもありました。つまり、おそらくは過去には例がなかったであろう、残雪のなかでの開催となったのです。そもそも札幌では11月初旬の降雪は珍しくはないらしいのですが、今回の雪は数日前から始まったAPOTC2024の参加者を歓迎するために舞い降りた紙吹雪ならぬ本物の白雪でした。その雪が学会会場までの歩道と路傍の低木、そして会場の前の広場に解け残ったものであったため、足元の寒さとは対照的に心が温まる光景となりました。
さて、肝心の学会はというと、我々の多少の危惧をよそに多くの参加者が来場してくれたおかげで、APOTC2024に引けを取らない盛況ぶりとなりました。立ち見の参加者であふれた学会長講演では、現代のデジタル社会に適応できない人々に対する支援の重要性とそこに気づき、貢献できる作業療法士の役割と自身の活用の必要性についての言及がありました。また、市民公開講座に位置付けられた近藤克則医師の講演では、地域における健康なまちづくりに作業療法士の貢献が期待されていると説明があり、非常に勇気づけられたという参加者が多かったです。さらに学会のメインの出し物である一般演題に関しては、ポスター会場も口述会場もともに活気にあふれ、日々の臨床の成果を披露しあったり、そこに秘められた知識や技術を習おうとしたりする熱気を肌で感じられました。
このように、総じて成功裏に終わった第58回学会でしたが、私の役割を最後に付け加えるとしたなら、次の第59回学会(高松)までこの熱気を冷まさないように、さらに会員の期待に応えるための努力を惜しまない決意があるということです。学会におけるホスピタリティと言い換えてもいいかもしれませんが、これを目にした皆さんが期待する学術的に楽しみなプログラムを、そして参加したいと思えるような雰囲気をこれから鋭意創り出していこうと考えていますので、こうご期待くださいませ。
(第59回日本作業療法学会長 能登 真一)
次回学会長を務める能登真一氏
第59回日本作業療法学会(高松)のご案内
2025年度の日本作業療法学会は香川県高松市で開催されます。これまでと同様に現地・Webのハイブリッド開催を予定しています。
【開催概要】
テーマ:作業療法の価値を高めるエビデンスの創出
会 期:2025年11月7日(金)、8日(土)、9日(日)(日曜日午前で終了)
会 場:サンポートホール高松、かがわ国際会議場、あなぶきアリーナ香川
学会長:能登 真一(新潟医療福祉大学 リハビリテーション学部)
現在、演題募集中です。演題募集期間は2025年1月14日(火)~2月28日(金)23時まで。演題募集要項については、学会ホームページをご確認ください。