災害対策室からの報告
2024年1月に発生した能登半島地震から1年3ヵ月、同年9月の能登半島豪雨から半年が経過しようとしています。改めまして犠牲となられた方々のご冥福を心よりお祈り申し上げますとともに、被害に遭われた皆様に心よりお見舞い申し上げます。
災害対策室は、令和6年能登半島地震の災害対策本部の設置に伴い、連絡調整室とともに設置されました。災害対策室では、災害支援活動の企画立案、支援企画の工程管理や結果報告を行い、私を含め地域社会振興部災害対策課の課員12名が災害対策室員も兼務するかたちで、この1年あまり活動して参りました。
支援活動としては、これまでに8つの支援企画を立案・実施いたしました。これらは被災した会員、また被災者への支援を行う士会や士会役員を対象としたものです。災害対策本部員となった協会理事にも主務として尽力いただきました。
本会支援活動でみえてきた課題
これまでの活動を振り返ると、いくつかの課題が浮き彫りになっています。一つは、支援活動の持続可能性です。災害が発生した直後は多くの関心が集まりやすく、支援に関する申し出も多くありますが、時間の経過により報道等も含めて被災地の情報が少なくなるにつれて、徐々に関心も薄れ、必要な支援についても手薄になってくることは否めません。必要に応じた持続可能な支援体制の構築が求められます。
被災者だけではなく、支援者のメンタルヘルスケアも重要な課題です。被災地での活動は、精神的にも肉体的にも大きな負担がかかります。支援者自身が健康でなければ、質の高い支援を継続的に提供することは難しいため、心身のケアは重要です。これには最前線で活動する支援者だけではなく、その支援者をサポートする立場の支援者も含まれます。発災からこれまでの期間、また、これら現地で活動する支援者の皆様には、改めて敬意を表します。
災害の多発・複合災害への対策
この1年、能登半島地震以外でも地震や豪雨等の災害がたびたび発生しました。災害対策本部では、これらの災害にも被害状況の確認や支援の必要性等について、当該の県士会との連絡調整を並行して行って参りました。また、近年の災害における作業療法士やリハビリテーション関連団体の支援活動を顧みると、災害支援における役割や必要性は確実に高まっています。このような状況に対応するためにも、平時の組織体制や業務との両立も課題となっています。これらの課題については、基本指針改定の検討会の立ち上げや都道府県士会の災害対策担当者との情報交換会開催等、既に取り組みを始めています。
能登半島での復旧・復興に向けた取り組みは継続しています。まだまだ長い道のりかと思いますが、一日も早い復興をお祈り申し上げます。私たち作業療法士には地域復興の一翼を担える力があると信じています。そして、これらの活動は会員の皆様一人ひとりにできることが数多くあります。能登半島の皆様や復旧・復興に携わっているすべての皆様に思いを寄せて続けてください。また引き続き、協会の災害対策および災害支援活動にもご理解とご協力のほどよろしくお願い申し上げます。
((一社)日本作業療法士協会 災害対策本部災害対策室長 今野 和成)