日本作業療法士協会の「財務管理指針」 が策定されました
会員6万人が納入する協会会費は全体で約7億円です。この約7億円は日本作業療法士協会(以下、協会)のさまざまな活動の資金となります。では、会員から集められたこの大事な資金をどのような考えで使うべきでしょうか。2023年下半期の約半年間に渡り、「基本理念策定」とともに「財務体質のあり方の検討」が始まり、財務の専門家や経営経験のある作業療法士等の方々にもご協力いただき、計20回以上の関連会議を開催しました。最終的に協会財務のあるべき方向性を明示した「財務管理指針」を策定、2024年度第1回定例理事会(2024年4月20日開催)にて上程、承認され、同年5月25日の定時社員総会にて報告いたしました。
「職員給与規定の見直しと人事管理制度」創設にむけて
協会では、2020年前後から事務局強化や2025年度の組織改編完了に向けた、さまざまな議論を進めて参りました。その一つとして、現在30名を超える常勤・非常勤の事務局職員における「職員給与規程の見直しと人事管理制度」(以下、人事管理制度)の必要性が課題として検討され、人事管理制度創設のための検討チーム(以下、検討チーム)の設置が2023年度第6回定例理事会(2023年12月16日開催)にて承認されました。
協会の組織マネジメント概念の検討
検討チームの初めの議論では、人事管理制度の中身をつくるため、基軸となる新たな協会全体のマネジメント概念の必要性が確認されました。これまでの協会は、作業療法5ヵ年戦略等の事業計画を策定し、各事業に予算を割り付け、これに基づき各部署が実行するプロセスマネジメントを中心に、各事業内容の情報を会員と共有してきました。一方で、ここ数年は組織改編が掲げられ、理事会のあり方や検討機能・実行機能の仕分け等、組織運営方法の抜本的な見直しに着手しています。
検討チームでは、人事管理制度を含め、協会のさまざまな課題に対応していくために、新たな協会組織マネジメント概念を示すに至りました。中心に基本理念を置き、組織運営、事業管理、財務管理、人事管理という4つの組織機能がそれを囲む新たな協会の組織マネジメントの概念図を2023年度第5回定例理事会(2023年10月21日開催)にて提案。それぞれが関連性・連動性をもたせながら、全体のバランスを図っていく組織マネジメントを想定しています(図1)。
財務管理指針の策定作業
このような方針から2025年度からの運用を目標とする人事管理制度創設の前に、基本理念を、並行して基本理念に沿った財務管理のあり方を検討することになり、理事会決議を経て、①基本理念の策定、②財務体質のあり方検討、③職務権限・職能要件の検討の3つのワーキンググループが2023年秋に設置されました。人事管理制度および職員給与規程の2025年度施行に向けて、2024年4月の理事会にて「基本理念」「財務管理指針」が承認、5月の定時社員総会にて「協会基本理念」が承認されるに至っています(図2)(第147号〈2024年6月15日発行〉p.6~9参照)。