機関誌『日本作業療法士協会誌』

あなたの人生経験をこれからの作業療法に活かしながら 作業療法士として、協会の仲間として、いつまでもともに輝いてほしい 「あらゆる会員のかがやく未来を拡げる」 一問一答5つのメッセージ

 昨年度、20~30代の女性会員にヒアリングを行い、多くの女性会員が結婚・出産・育児等のライフイベントで研修会に参加できず、不安や準備不足を感じていることがわかりました。本会はこれを受け、「誰もが主役・かがやきプロジェクト」を設置し、今年度は20~30代女性会員の支援に取り組むことにしました。まず、本誌を通じて、女性会員の不安や困難をみえる化し、協会全体の課題として共有することにしました。そのような不安の声に対して、「かがやく未来を拡げる」一問一答でメッセージをお返しするかたちで皆さんに共有いたします。また、今回は多くの方よりあたたかい回答メッセージをいただけたことから、誌面のデザインで優しく、あたたかなイメージを表現してみました。ぜひお気軽にお読みください!

1.学会や研修会に参加できません

 本当はもっと勉強したいのに、仕事も家庭も忙しくて、時間がつくれず……なかなか参加できないです。

オンラインも積極的に

 子どもや夫の予定、家事の調整、お金……を考えていると、学会や研修会に足が遠のきがちになりますが、私はオンラインも積極的に利用しています。オンラインだと急な予定の変更(子どもの熱発!)があっても大丈夫、自分のペースで勉強できる、家族との時間も大切にできるので満足度も高いです。
 オンデマンド配信の時は家事をしながら、ランチの時間等、隙間時間も使っています。オンラインの研修会や学会で知り合った方と次は対面で会いたいなと考えるのも楽しみの一つです。(名古屋大学 星野藍子)

学会も子どもと一緒に

 夫婦ともに作業療法士として勤務しながら、5歳の息子の子育てをしています。
 出産後、学会には足が遠のいてしまっていましたが、今は子連れで学会参加をしています。託児室を用意してくださる学会や、「子連れ歓迎」を謳ってくださる学会も増え、子連れでも参加しやすい雰囲気です。
 何より運営の方々・周りの参加者の方々があたたかく見守ってくださり、とても有り難く、嬉しく思っています。(楠メンタルホスピタル 吉原絵理)

 妻が研修や学会で研鑽する姿勢が刺激になり、自分の学びにもつながります!
 日程調整等はお互いに協力し合っています。(名古屋市総合リハビリテーションセンター 吉原理美)

教育部より

 日本作業療法士協会は、会員の皆様がスキルアップ、キャリアアップできる充実した教材を準備していきます。
 具体的には、2025年度から新生涯学修制度がスタートします。
 この制度ではオンデマンドによる70コンテンツがすべて無料で視聴できます。
 今後は、産休中や育休中でも学びを継続できるシステムをより強化し、作業療法士免許を有する皆様がいつまでも輝き続けられる未来をしっかりとサポートして参ります。対象者の方々に選ばれる作業療法士を一緒に目指しましょう。(教育担当常務理事 早坂友成)

2.情報がどこにあるかわかりません

 ライフイベントの最中にある世代向けの情報はどこに記載されているのでしょうか?

制作広報室より

 会員の皆様には、月1回の協会誌(紙媒体・協会ホームページへの掲載)、会員ポータルサイト、ホームページでの会員向けのページに加えて、Facebook、X(旧Twitter)、LINE等のSNSでも随時発信しております。特にLINEは定期的にコンパクトに情報をまとめて発信しております。LINEは左記のQRコードよりご登録いただけます。新卒者や産休・育休中の方向け等、随時発信していますが、それぞれの状況の方々に合わせた情報をまとめ
て発信していくことも今後検討して参ります。(広報担当常務理事 関本充史)

LINE登録はココから! 

3.この先のキャリアがみえません

がんばりたいけど、ライフイベントがあるなかでどんな風に働けるのだろう? 身近にモデルになるような人もいないので、続けていくのが不安です。

教育部より

 eラーニングコンテンツは、隙間時間を活用して視聴が可能です。現在、専門作業療法士取得研修を中心に複数のコンテンツを配信しています。また、無料コンテンツの「子育て・介護を担う女性作業療法士の働き方~子育てしながらイキイキと働くために~」では、ライフイベントと仕事の両立について、ママOTの声を聞くことができます。ぜひご覧ください。(教育部員 長谷麻由)

仲間探しを

 家庭とのバランスを保つために、育児時短勤務期間終了後からパートに切り替えて回復期で働き続けています。仕事、主婦として母として毎日忙しいですが、そのなかでも自分のキャリアを大切にしたいという想いは
強く、院内外で仲間と一緒に日々奮闘しています。身近にモデルとなる人がいない時は学会やSNS等、一歩外の世界を覗いてみるのはいかがでしょうか?そこに大切な出会いやつながりがあるかもしれません。やっぱり、
独りでがんばり続けるのは大変です。ともにがんばっていきましょう!(偕行会リハビリテーション病院 川口悠子)

誰もが主役!

 キャリアにはいろいろなかたちがあって大丈夫なのですよ。クライエントとのかかわりのなかで自分が好きだなと思えることを積み重ねていくと、いつの間にか自分らしいキャリア(作業療法)になっていきます。また、協会の研修会や学会でいろいろな人の話を聞いたりするのも良いかもです。「誰もが主役 多様な協会へ」(p.16~19)にもさまざまな 作業療法士の働き方を連載予定ですので、ぜひ参考にしてみてくださいね。(「誰もが主役 多様な協会へ」担当理事 高橋香代子)

4.子育て中のブランクが心配です

長期間休んでいたので、作業療法士としてやっていけるか不安がいっぱいです…

育休経験が糧に!

「作業療法士としての私は、誰かに代わってもらえる。でも、母としての私の代わりはいない」
 私は現在21歳、16歳、11歳の3人の子どもがいます。母としての自分と作業療法士としての自分、やりたいこととやれること、限られた時間のなかで、たくさんのジレンマや葛藤がありました。
 子どもたちの成長とともに、そのバランスが少しずつ変わってきた今、地域というフィールドにおいて、これらの経験が、「その人の生き方」にスパイスを加える作業療法士としての仕事の糧になっています。
 人を大切にする作業療法士として、この経験は、とても貴重だったと実感しています。
(障がい相談支援センターまるおか 吉岡恵美)

5.がんばることに疲れちゃいました

いろいろな理由で作業療法士としてがんばり続けることに少し疲れています。このままやっていけるか不安です。作業療法士を辞めることも考えてしまいます。

知っていますか?休会制度 総務部より

 スランプに陥った時等は、思い切って士会や協会の集まりに顔を出してみてはいかがでしょうか。
 同じ悩みを抱えている人と出会えたり、新たな発見や明日への励ましが得られるかもしれません。たとえいったん休職するとか、職場を変えることになったとしても士会や協会は作業療法士同士のつながりを保つ命綱になります。退会してしまうのではなく、「休会」という選択肢があることも覚えておいてくださいね。(総務部長 宮井恵次)

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