9月25日は作業療法の日

作業療法にまつわるエピソード「あの日のできた」にたくさんの応募をいただきありがとうございました。
みなさまの「あの日のできた」をご紹介します。

四国霊場八十八ケ所巡り結願  

森岡和美 様

 脳梗塞の後遺症で右半身が不自由になり、リハビリ通院をしている。スタッフによるリハビリ時間や器具を使っての作業・運動時間以外は、自主的に歩行訓練に励んでいる。歩行訓練は病棟廊下を周回するもので、単調であり、継続にはかなり努力が必要だ。
 そこで担当の作業療法士が、「遍路日誌」をつくってくれた。四国霊場八十八ケ所の札所名と札所間距離が記載されていて、歩行訓練で歩いた距離に応じて、通過した札所欄に確認スタンプを押してくれる。最初は、2014年1月3日に1番札所霊山寺を出立、1330kmの長距離、無事たどりつくか心配であったが、「歩行速度が上がってきましたね。次の札所は遠いですが頑張って」と、スタッフに励まされ、2015年1月23日、1年ちょっとで完歩、無事結願した。継続は力なり。細やかな心配りに感謝しながら、現在14巡目の霊場巡りに挑戦している。

  

脳は再生する 

A 様

 63歳のある日突然脳梗塞におそわれ、左半身の麻痺で今もリハビリの毎日を過ごしています。この病気になってすぐの頃、ケアマネジャーさんからいただいた本の中に書かれていた‘‘脳は再生する’’との一文に救われました。その一文を信じ、今も毎日リハビリに取り組んでいます。
 リハビリセンターへの申し込みの時のことです。ここを受けられる条件が、人差し指と親指が動くことが必要でした。そのため半年間、TMS治療、低周波治療器などのリハビリを頑張っていると、ある日突然その指がほんの1mmぐらいでしょうか、動いたのです。おかげでリハビリセンターへの入院が許されました。その時のヘルパー、作業療法士、ドクターなど関係者の指導のおかげで今は1mmの動きから物がつかめるまでになりました。その自信を得たことであらゆることにチャレンジしている自分がいます。感謝です。

次は左腕の出番です

鹿島勝美 様

 孫娘をベビーカーに乗せて散歩中に脳梗塞を発症、急性期病院を退院後は右半身の後遺症を軽減すべくリハビリ病院で週3日の通所リハビリを受けてから、15年目を迎えています。
 動かなかった右半身は、少しずつ改善し「継続は、力なり」を実感しています。
 ある日、作業療法士さんから左手での習字を勧められ、ダメもとで挑戦することにしました。やり始めてみると意外にスムーズに筆が運べることに気が付きました。太くて柔らかい筆は、先の尖った硬いペンや鉛筆よりも、書きやすいのです。
 習字に力を得て、今は、季節の花をデジカメに撮り、パソコンに保存し印刷に取り組んでいます。作品は院内の廊下に展示され、利用者さんに見てもらっており、励みや、ささやかな生き甲斐となっています。例年、地域で開催される作業療法士会の作品展示会への出展も継続していきたいです。
 「右が駄目でも、左があるじゃないか」
 生活の幅を広げてくれた療法士さんのあの日のファインプレーに感謝です。

やっぱり花はいいな~

東北出身のお花大好き 様

 東北で一人暮らしをしていましたが、足腰も悪くなってきて去年の秋に息子のいる岐阜に引っ越してきました。知り合いもおらず、家事は嫁さんがしてくれる。ケアマネジャーさんにデイサービスを勧められて通うことになりました。そこにいた作業療法士さんから、「花が好きですか?じゃあ、今度、デイサービスの庭に花壇を作る予定なので、一緒に花を育てましょう」と言われ、うれしかったぁ!作業療法士さんが土をおこしてくれて、そこに球根を植える。足腰が弱くなってあきらめていた花を育てることができました。そして、春に花が咲いた!やっぱり、花はいいな~。これからも、色々な球根を植えていっぱい花を咲かせんべな。

担当作業療法士からの言葉
 デイサービスの初回利用時の面談の中で、「花が大好き」と聞き、ちょうどデイサービスで花壇を作る計画があったので、参加してもらいました。中腰での作業が難しいので、風呂場で使用する椅子に座って作業をしました。これなら安定しているし軽いので、移動も楽にできます。花が咲いた時は自ら「花が咲いたよ!」と教えてくれました。水差しにさして部屋の机に飾ると、ずっと見ておられます。現在は水やりが主な仕事ですが、「庭に行く。やっぱり花と緑の葉っぱはいいな~」と意欲的です。また来年に向けてどの花を育てるか相談中です。

2年半越しのスイートポテト

あかときいとあお 様

 私が病気になってから、2年半が過ぎていました。右半身麻痺で何をやるにも今まで通りにはいかず、諦めの気持になっていました。
 「またお菓子、いっぱい作ってね」の子どもたちの言葉がもう一度聞けたらいいなぁと思い、作業療法士さんに、それを伝えると「できますよ」と言われて拍子抜けしてしまいました。今の私には難しいって言われるだろうと思っていたのです。
 そこで今度のリハビリテーションは子どもたちの大好きなスイートポテト作りになりました。釘のついたまな板、滑り止めの吸盤でボウルを固定、スプーンを使って成形。作業療法士さんの「できますよ」の言葉に背中を押してもらいました。「レシピを教えて欲しい」と言って下さったことは、ほんの少しでも自分が誰かの役に立てたのかなと嬉しく思いました。
 そして子どもたちと2年半ぶりのスイートポテトです。作る時間に比べてあっという間に食べ終わってしまったけど、「またいっぱい作ってね」って、最高の褒め言葉をもらいました。