現場での試行錯誤に、やりがいを感じます
昭和大学藤が丘病院・鎌崎瑞穂さん
作業療法士という職業を知ったのは高校生の時です。たまたま放送されていたドラマの主人公の一人が目指していたのが作業療法士だったんです。ちょうどその時、祖母が入院するという出来事もあって、祖母のリハビリテーションでも、作業療法士という職業に触れる機会がありました。
昭和大学藤が丘病院・鎌崎瑞穂さん
作業療法士という職業を知ったのは高校生の時です。たまたま放送されていたドラマの主人公の一人が目指していたのが作業療法士だったんです。ちょうどその時、祖母が入院するという出来事もあって、祖母のリハビリテーションでも、作業療法士という職業に触れる機会がありました。
作業療法士を自分の職業にしたいと決意したのは、もう少し経ってからでした。漠然と医療関係に進みたいとは考えていたのですが、看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などいろいろな専門職がある中で、どの道に進もうかと迷っていた時、NHKで放映されていたドキュメンタリー番組に、衝撃を受けたんです。統合失調症の方の治療についての番組だったのですが、そこでは、医師や看護師ではできない、リハビリテーションのスタッフならではの患者さんとの関わり方が描かれていて、興味を持ちました。そこで、昭和大学の作業療法学科に入学しました。
大学2年生になると、精神科での実習が始まりました。高校生の時に見たドキュメンタリーに出演できるような軽い症状の人は少なく、もっと重い症状の方が大勢いることを知りました。そうした患者さんと触れ合うことで、現場の難しさを肌で感じることができました。
2週間ほどの実習では、統合失調症で30年間入院している、50代の男性を担当しました。はるかに年齢が上の患者さんに対して、学生である私に何ができるのかを考えさせられました。今振り返ると、実習としては、決してうまくはいかなかったと思います。しかし、記憶力が不確かな患者さんが、根気よく接するうちに私のことを認識してくれるようになったり、いつもそばにいることに感謝されるようになったりするなど患者さんに「受け入れてもらった」という感覚はもつことができありました。だから、もっと勉強し経験を積めば、自分にも何かできることがあるのではないか、早く現場に出て、もっと経験を積みたい、そう思うようになったのです。
大学3年生の実習では、脳梗塞を患い、右半身の麻痺と認知症がある70代女性を担当しましたが、治療やリハビリテーションによって、目に見えて良くなっていくのを目の当たりにしました。やっただけ効果があらわれてくるので、とてもやりがいがありました。もともとは精神障害系のリハビリテーションに関わりたくて目指した作業療法士ですが、次第に身体障害の分野に気持ちがひかれていったんです。そこで、身体障害系のリハビリテーションも経験できる、今の職場に就職することにしました。
勤めて2年目になり、いつも10人~15人の患者さんを担当しています。ここには、脳神経系の疾患がある中高年以上の患者さんが多くいらっしゃいます。知識も経験もまだまだ足りない中で、日々刻々と変わる患者さんの気分や体調に対応しながらのリハビリテーションは難しいです。でも、患者さんの気持ちを汲むことを第一に、患者さんに、作業療法士は「味方」だと思ってもらえるように努力しています。この仕事は「正解」がない仕事だと思いますが、生まれ持った性格なのか、決まりきったことをやるのは苦手で、試行錯誤が好きなんです(笑)。その意味でも、作業療法士の仕事には、やりがいを感じています。
■施設情報
昭和大学藤が丘病院リハビリテーション室
〒227-8501 神奈川県横浜市青葉区藤が丘1-30
電話:045-974-6310